2月20日(土)、東京7Rが次のように決まった。

1着 クロフネフリート
2着 エグゼビア
3着 ディアドナテロ
4着 サプライズライン
5着 セイウンオセアン

 その直後、高校の同級生で、国文学の道に進んだ女士から電話がかかってきた。「今の東京の7レース、1着から5着までの頭文字をつなげると凄いわよ」。じつは大変な競馬好きなのである。さっそく、つなげてみたら、クエデサセだった。

「これに何か、意味があるの?」
「それが、あるのよ」

 聞けば、江戸時代、天明の大飢饉(1782~88)のときに、落書された戯歌(ざれうた)にこういうのがあったのだという。

「世はこよなし/くえでさせとに/させでくう」

 どういう意味かというと、この世は極端だ、食えないで(食うために男に)させている女がいる一方で、(親の庇護のもと)のうのうと食ってばかりの女もいるという、つまりは貧富も突いたもの。「食えでさせ」などという、貧しさの極みをさす言葉が、競走馬の名前を借りて、ひょっと出たところに、近づきつつあるこの世の危うさが感じられると女士は言うのである。

「馬券もハズれたから、余計に腹が立つのよ」最後は笑って電話が切られた。

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