簡単な手続き一つで、従来よりも電気代が安くなる「電力の小売自由化」。では、具体的にはどう選べば一番得なのか。3月7日現在、政府が電気の小売を行う事業者として登録したのは全部で210社ある。あまりに数が多すぎて途方に暮れてしまう。「複数のインターネットサイトで簡単に“料金比較シミュレーション”ができます。自宅の住所や、ひと月あたりの電気使用量などを入力すれば、各社の料金プランの対比表が料金の安い順に表示されるんです。まずはここから検討し始めるのがいいでしょう」(全国紙経済部記者)

 そこで大手の価格比較サイト『価格.com』を運営する株式会社カカクコムの広報担当・田川小百合氏に話を伺った。「新事業者の既存サービスとのセット割引が増えています。ガス会社や携帯電話などの通信会社も割安なプランを多く出しています」 たとえば、ガス会社ならガス料金とセット、通信会社なら電話やネット回線とセットで契約すれば電気代を値引きといった具合だ。他にも、ガソリン代や、ポイントカードのポイント、定期券代や旅行代金が安くなる特典など、各社が本業の商品と組み合わせて、多様なサービス合戦を展開しているのだ。

 一方、“安さ”だけではない選び方もある。「もう一つ特徴的なのは、電力源ですね。太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電気を供給すると謳っている事業者もあります」(前同) 環境問題への関心が深く、多少料金が高くてもその電気を、使ってみようとする人もいるだろう。

 また、地産地消の電力会社を選ぶことで、「地域」に貢献するという方法もある。ちなみに、地産地消の電力を自前の送配電網でカバーてしまおうという「登録特定送配電事業者」もいくつか存在する。この場合は、旧来の電力会社の力を借りずに、すべてを「自前」で行うことができるわけだ。安さで選ぶか、はたまた生活スタイルで選ぶか――。さまざまな選択肢の中から自分に合った電気をチョイスすることができるのだ。

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