――なるほど。では、心が疲れていない人でもカウンセリングにきていいんですね。
山名:もちろん。日本では、この分野はまだ偏見があると思います。本当はもっとオープンで“気楽”に立ち寄れる場所であっていいと思うのですが……まだまだ保険も利かず、料金も高いので踏み込みにくいですよね。
――家庭や職場では話せないことを打ち明けられる場所があると、ずっとラクに生きられますよね。
山名:守秘義務100%なので、普段は言えないモヤモヤとしたものも発散してもらえればいいんです。
――ところで山名先生といえば、いまやテレビや雑誌で引っ張りだこの“美人臨床心理士”ですけど、元々はモデルだったんですか?
山名:モデルといっても学生の時に雑誌の読者モデルをやっていたぐらいですよ。
――臨床心理士を目指したキッカケは?
山名:父親が精神科医だったこともあり、昔から心理学に興味があったんです。
――それで大学院まで進んで資格を取られた。まさに才色兼備ですね。
山名:いえいえ。心理学の道に進んだのも、父親の影響もある一方、私自身、昔からすごく人見知りで、コンプレックスをたくさん持っていたからなんです。
――ええ!? 先生も悩める乙女だったんですか?
山名:もちろん悩みはありました。しかも私は人からの第一印象がよくないことも多くて。人見知りで、無口になってしまうのを、“キツそう”“冷たそう”と思われることも……。だから、コミュニケーション能力を上げたくて、心理学の勉強をしていたんです。
――親近感が持ててきました。ということで、先生に聞きたいことがあるんですが、最近、嫁とずっと“ご無沙汰”で……。
山名:なるほど。
――いや、そんなに真面目に反応しないでください。
山名:いえ、そういうご相談も少なくないんです。これもケースバイケースですけど、“夫婦の営み”の問題は女性が原因のことも多いですね。
――ほお!
山名:ご夫婦の場合、奥さんが出産されてから関係がなくなることが多いんです。これは仕方のないことで、女性は育児に入ると、女性の本能でそうした性的なものへの興味が薄らいでしまうんです。その時に男性は夜の営みを拒否されて、プライドを傷つけられてしまうんですね。だからまず、男性の受けた傷を癒してあげないといけないんです。
――そうなんです。僕は傷つけられたのです!
山名:今も奥さんとしたいんですよね?
――うーん。そういわれると微妙だなぁ。別に嫁と激しくヤリたいとは思わないっス、正直なところ(笑)。
山名:それなら無理にする必要はないと思います。お互いが納得しているのなら、今のままでもかまわないと考えてみては?
――そっか!
山名:これは心理学なんですが、人間には“考え方の癖”があるんですね。同じ物事でも前向きに考える人と、悪く考えてしまう人がいます。また、最近の若い人には“白黒思考”といって、イエスかノーか、ゼロか100かハッキリさせないと許せないという考え方が増えています。そうした考え方の癖を知り、そこを少し修正すれば、目の前が開けることも多いんです。
――先生に相談すると、なんだか安心するなぁ。
山名:意外と自分が“当たり前”と思っている考え方が違うこともありますからね。たとえば、若い部下の扱い方に悩んでいる上司の方には、先ほど話した“白黒思考”について説明します。今の若い人は、曖昧なことが許せない傾向が強い、と。だから仕事でも、すぐに結果を出したくなるんです。