不眠症はこれで解決!「眠りの秘密」大公開の画像
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 寝つきが悪い。夜中に何度も起きる。早朝に目が覚める。加齢とともに、そんな悩みを抱える人が急増。解決策は?

 厚生労働省の研究班によれば、国内の成人の3割以上が、なんらかの形で悩んでいるという不眠症。高齢化社会と深い関係があるといわれるが、不眠を解消して快適な眠りを満喫するために、睡眠の秘密に迫ってみたい。

「肉体同様、年齢とともに私たちの“眠る力”も衰えていきます。睡眠力のピークは10代。その後は徐々に落ち始め、50代に入るとガクンと低下します」 開口一番、こう指摘するのは『雨晴クリニック』(富山県高岡市)副院長の坪田聡医師(医学博士)。『睡眠は50歳から「老化」する』(大和書房)など、関連の著作が多くある睡眠障害の専門家だ。それにしても、なぜ、50代を境にして一気に睡眠力が低下してしまうのか?

「脳に“松果体(しょうかたい)”と呼ばれる内分泌器官があり、これが年齢とともに衰え、50歳を境に、劣化が一気に加速するからです」(前出の坪田氏) その結果、深い睡眠が取れない、夜中に何度も起きる、睡眠時間が短くなるなど、睡眠の質の低下が起こってしまうという。下のグラフは子ども、成人と比較して、高齢者が深い睡眠を、いかに取れなくなっているかを示したものだ。

グラフ

 脳が眠るノンレム睡眠は、1から4段階に分けられ、4が一番深い。「子どもや、成人でも若い人は、体の眠り(レム)と脳の眠り(ノンレム)の睡眠周期を一晩に4~5回繰り返し、深い睡眠の中でもレベル4まで達します。だが、加齢とともに、レベル4がなくなり、やがて少しずつレベル3も減っていき、高齢者になると、レベル1~2止まりの人が増えていくんです」(前同)

 ちなみに、睡眠の二大役割をご存じだろうか?「一つは脳と体をクールダウン、すなわち休ませること。車のエンジン同様、休ませないと、オーバーヒートしますから。もう一つは脳と体のメンテナンス。壊れた細胞の修復や再生を行います」(同) だが、レベル4まで行かないと、この二つの役割が十分に果たせないという。結果、肥満や高血圧などの生活習慣病、さらには、がんやうつ病など、さまざまな病気にかかるリスクが高まり、最悪、命の危険すらあるというのだ。

 坪田氏によると、近年は睡眠とがんの因果関係も指摘されているという。たとえば、朝から夕方までの通常勤務の人と、時間が不規則で睡眠時間が十分に取れない交代制勤務の人を比べたところ、交代制勤務の人のほうが、3倍も前立腺がんになる確率が高いとのデータが出たという。睡眠時間が十分に取ることができない人は、どうしたらいいのか? また、老化から来る睡眠力低下は、どうしようもないのか?「そうではありません。睡眠力の老化は、病気や生活習慣の乱れなども関係しています。また、睡眠の“質”を、努力や工夫で高めることも可能です」(同)

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