「国会や官公庁などは、実は狙われにくいでしょう。東欧経由で自動小銃などが容易に手に入るヨーロッパと違い、日本にいるメンバーはおそらく軽武装になるので、警戒が厳重な場所は避けるはずです」(同)

 やはり、考えうるのは自爆テロや人質を取っての立てこもりだという。「前者の場合は、やはり繁華街が一番危険です。雑多な人がいて紛れやすく、逃走経路や目撃証言が曖昧になりやすいという特徴があるからです。特に、外国人観光客などが常に多い街は危険ですね」(前出の小関氏)

 また、相手がISとなると、にわかに女性に危険が及ぶ可能性が高まる。「ISは“女子に教育やキャリアは必要ない”と主張しているため、特に女子高や女子大などを襲う可能性もあります。同様に、通勤電車の女性専用車両なども大いに警戒が必要です」(前出の警視庁関係者)

 さらに、犯行自体はインターネットで流すことが目的のデモンストレーションなので、人が集まる場所であれば東京かどうかは重要ではない。「たとえば地方の空港、新幹線や地方の主要駅なども、テロのターゲットとなってくるでしょう。そして、アクセスがよく複数の出入り口があるレジャー施設やショッピングモールも、対象に含まれると思われます」(軍事評論家の古是三春氏)

 こうした場所で主に一般人をターゲットにしたテロを行い、それを新たな“宣伝材料”にするのだ。「ISに関しては、テロリストは都心の重要拠点を狙うという発想は捨てたほうがいいですね。むしろ、地方でもなんでも“ネットでバズる(広がる)場所”を選んでくるでしょう」(セキュリティ関係者)

 一方、オーソドックスに都内の重要拠点を狙ってきそうなテロ集団もいる。「相変わらずの“瀬戸際外交”を続ける北朝鮮の特殊部隊です。金正恩第1書記が最近、韓国に対するテロ活動を公式に指示したともいわれていますが、伊勢志摩サミットや参院選を控えた日本も、これからはターゲットになるでしょう」(防衛省関係者)

 北朝鮮の特殊部隊は厳しい訓練を積んでおり、個々の能力が非常に高いという。「以前接触した工作員は“我々が70人いれば、東京23区を麻痺させることは簡単だ”と言っていましたよ。それほど北朝鮮の工作員は優秀であり、世界屈指の特殊部隊ともいえるのです」(『コリア・レポート』編集長の辺真一氏)

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