田中将・マエケン・岩隈が「サイ・ヤング賞」を争う日の画像
田中将・マエケン・岩隈が「サイ・ヤング賞」を争う日の画像

 火の出るような速球や消えたかと思う魔球を駆使して試合を支配する絶対的存在。魂の込もった一球に刮目せよ!

 海の向こうにも球春が到来し、今季も侍大リーガーたちが活躍している。中でも注目されるのが、チームの主力としてローテーション入りを果たした3人の先発右腕、ヤンキースの田中将大、ドジャースの前田健太、マリナーズの岩隈久志だ。「いずれも非常にレベルの高い投手です。彼ら日本人投手が最多勝やサイ・ヤング賞などのタイトル争いを繰り広げる可能性は十分ありますね」(現地在住のスポーツジャーナリスト)

 昨季開幕前に右肘内側側副靱帯の部分断裂が判明し、昨年3月17日にトミージョン手術(靭帯移植手術)を受けたダルビッシュ有の回復も順調で、フリー打撃に登板しているが、「トミージョン手術は、平均して復帰に15~16か月かかる。ダルの初登板は、早くても5月だと思います」(現地カメラマン)

 今季、日本人先発投手として最初にマウンドを踏んだのは田中将大だった。6日(日本時間=以下同)、松井秀喜氏が始球式を務めたヤンキースタジアムでのアストロズ戦に登板。2年連続のシーズン開幕投手となったが、結果は5回2/3を投げて4被安打2失点1四球4奪三振。同点で降板し、勝敗はつかなかったが、チームは3対5で敗れている。

「試合後、ジョー・ジラルディ監督は“田中はいい投球をした”と評価。マー君自身も試合後、“ツーシームを主体にゲームをなんとか組み立てることができました”と語り、同点に追いつかれた5回の本塁打を“最後のホームランが余計でした”と振り返りました」(スポーツ紙記者)

 大リーグ研究家の福島良一氏は、田中の開幕戦をこう見たという。「気温2度で強風の吹く中では、上出来だったのではないでしょうか。試合を作って2点に抑えたわけですからね。3回までは完璧でスライダーもキレて、スプリットも決まっていた。寒いので、肘を心配してセーブしているという面もある。気温が上がれば、球速も上がるでしょう」

 昨年10月には右肘の骨片除去手術を受けているだけに、まだ無理をする時期ではない。また、田中には魔球もある。「マー君のスプリットは、52.5%と昨季の全メジャー投手の中で最も高い空振り率を誇った超一級品。地面を叩くほど落ちる“ワームキラー(ミミズ殺し)”と呼ばれ、容易には打てません」(専門誌記者) 昨年は故障者リスト入りしながらも24試合、154回を投げて12勝7敗。開幕戦、後半戦緒戦、ワイルドカード決定戦と、重要な試合すべてに先発した。「2年連続で開幕戦に起用され、今やヤンキースのエース。期待に応えてくれるでしょう」(前出の福島氏)

 田中の7時間後、テキサスの地でマウンドに上がったのが岩隈久志。今オフ移籍市場の目玉として、3年総額で4500万ドル(49.5億円)という好条件をドジャースに提示されながら、健康診断の結果、最終的に契約はご破算になった。「古巣のマリナーズに戻りましたが、チームは岩隈をサイ・ヤング賞投手のフェリックス・ヘルナンデスに次ぐ二番手として評価しています」(民放関係者)

 岩隈は開幕2戦目、6日のレンジャーズ戦に先発。5回90球を投げて2失点、6被安打5奪三振3四死球だった。岩隈自身に勝敗はつかなかったが、青木宣親が1番で出場したチームの打線が爆発。10対2と大勝している。「四球なんて、1試合に1つ出すかどうかという制球のいい岩隈にしては珍しく、5回で四球を3つも出していました。ただ、5回2失点は合格点」(福島氏)

 この日の岩隈の球種は、直球が13球、ツーシームが20球、スライダーが22球、カーブが7球、カットボールが1球、スプリットが27球。この多彩さと制球力が最大の魅力だろう。岩隈本人も「今年は怪我せずに、しっかり1年間投げて、200イニング投げることを目標にやりたい」と、最多勝&サイ・ヤング賞への意欲は十分だ。

 岩隈が入団するはずだったドジャースに、今季から加入した前田健太は7日、念願の舞台に立った。敵地・ペトコパークでのパドレス戦の結果は、6回を投げて5被安打無失点無四球4奪三振と最高の内容で、4回には本塁打まで放つおまけつき。メジャーデビューのマエケンが放った一発は、味方ベンチはもちろん、敵地の観衆までお祭り騒ぎに巻き込んだ。

 福島氏も興奮気味に語る。「好投するとは思いましたが本塁打まで……。100点の内容でしょう。投球もメジャートップクラスのスライダーが抜群で、4つのうち3つはスライダーで三振を取りました」 前田の球種は直球、ツーシーム、カーブ、スライダー、チェンジアップ。中でもスライダーは、この日もコンビを組んだA・J・エリスから「破壊的だ」と絶賛される伝家の宝刀だ。「外角に広いメジャーのストライクゾーンでは、さらに特長が生きるはずです」(前出のスポーツ紙記者)

  1. 1
  2. 2