慶応大卒の“静かなるドン”、ブッ叩き上げの“鉄人アニキ”本物の“漢”はどっちだ。誌上バトル、見逃すなーッ!
東京ドームに大歓声が轟いた。――去る4月上旬、血で血を洗うガチンコ“3連戦”が開催された。伝統の一戦、巨人・阪神戦である。
シーズン開幕から首位争いを繰り広げてきた両軍団の直接対決に、プロ野球ファンは熱視線を向けたが、今年、就任した新監督――高橋由伸(41)、金本知憲(48)両監督の采配もまた注目された。野球解説者の江本孟紀氏が、こう言う。「両チームともに、新監督の下で、選手がヤル気を出していますよね。でも、そのやり方は対照的なように見えますが……」
ならば、どちらが監督として“漢(おとこ)”なのか――。その疑問に答えるべく、本誌は今回、“肝っ玉”“義理人情”“インテリジェンス”の観点から、「男気采配3番勝負」を挙行。親分としての資質を問うッ!!
まずは、“肝っ玉”。「由伸監督は、実によくやっていますよ」とは、ベテラン野球記者。「2度目に原辰徳監督が率いた2006年からの10年間で、戦力は低下の一途の巨人。とにかく故障が多く、2軍と3軍に、合計で12億円以上の選手が燻ぶっているわけです。でも、由伸監督は、これを、しかと引き受けました。肝を据えて“盃”を受け、現状、結果を出しているから大したものです」(前同)
これに対し、「何を言うとるんですか。胆力は金本の圧勝に決まっとるやないですか」と反論を口にするのは、在阪のスポーツ紙記者。「金本監督は就任するとき、“これまでの阪神の体質を根本的に変えるなら、引き受ける”と条件をつけて、コーチ陣をバッサリ一新。腹心に、矢野燿大作戦兼バッテーリーコーチを入閣させ、実質的なナンバー2としています。最初に一発、フロントにカマシ入れたんですわ。“俺の好きにやらせろ”とね」(前同)
事実、金本監督の“超変革”プランは、気合いがハンパではない。凄味さえ漂っているのだ。「金本監督は、1番髙山俊、2番横田慎太郎、3番マット・ヘイグと、昨年とまったく違うオーダーを組み、シーズンに臨みました。結果、いい形になってて、1番のルーキー髙山がめちゃくちゃハマっています」(スポーツ紙デスク) 成績を出せなければ、クビ必至の男気采配。開幕戦から、ほぼ新スタメンで固定してきたが、「2番の横田の成績が落ちてきたら、スパッと江越に切り替えた。この思い切り、実に見事です!」(江本氏)
対する“由伸巨人”の基本オーダーは、「誰がやってもそうだろうという保守的な並びで目新しさゼロ」(前出のデスク) コーチ陣も、盟友の井端弘和こそ入閣させたものの、代わり映えナシ。結局、フロントの言いなりか!? この“肝っ玉”勝負、金本監督の勝利!!
さて第2戦は“義理人情”。一軍の将たる者、約束を守り、情に厚ければ選手もついてこようというもの。「これこそ、由伸監督ですよ」と言うのは、前出のベテラン野球記者。「現役を退いた松井秀喜が、再三の監督要請にもかかわらず、優柔不断で煮え切らなかった。で、由伸が志半ば、現役への未練を断ち切って、監督を引き受けたわけです。博愛、献身、自己犠牲を生きる軸としている。こんな野球人、他にいますか?」(前同)
これは、恩師の長嶋茂雄巨人終身名誉監督の“跡目継承”あってこそのもの。ミスターは由伸監督に、こう言ったというのだ。「僕には僕の、原には原の野球があった。由伸は由伸の野球をやればいい。現在の手駒を考え、背伸びをせず、自然体で自分の信じる道を進むことだ」 常勝軍団には、後進へ道をゆだねる歴史あり。それをそのまま、由伸監督は自分の野球に活かした。全国紙運動部記者が、こう言う。「選手を全面的に信頼してるんですよね。とにかく、バントでも、ヒット・エンド・ランでも、サインを出しません。投手も多少打たれても、全然代えようとしない。スタメンも、あまりイジる様子がないですね」 不気味なまでに無言を貫く、“静かなるドン”。