宝塚が『るろうに剣心』をミュージカルにできる理由の画像
宝塚が『るろうに剣心』をミュージカルにできる理由の画像

 今年、人気漫画『るろうに剣心』をミュージカル化し、注目を集めた宝塚歌劇団。明治維新後の日本を舞台に、着物姿の剣客・緋村剣心の活躍を描くこの作品を、迫力ある殺陣や歌舞伎の演出を交えて見事に舞台化。完成度の高いステージは、高い評価を集めている。

 時代劇とミュージカル。よく考えるとミスマッチにも思える組み合わせだが、不思議に違和感をまったく感じない。これは、宝塚が日本に生み出した「文化」によるものだろう。

 それは「日本舞踊」と「洋楽」の融合だ。宝塚歌劇団の生みの親である小林一三は、「西洋音楽の伴奏に合わせて日本舞踊を踊ること」を宝塚歌劇のアイデアとした。宝塚歌劇の最初の公演は、桃太郎を題材にした『ドンブラコ』。ここから、すでに宝塚のコンセプトが表現されていた。

 宝塚歌劇団の生徒は、音楽学校で日本舞踊も学習する。日舞の名取である生徒も多い。宝塚の独特で美しい舞踊は、舞台で数々の名場面を生み出してきた。「宝塚といえば西洋的」というイメージを持っている方も多いと思うが、実はその源流は日本舞踊だったのだ。

 今年は、『るろうに剣心』のほかにも、大劇場公演『NOBUNAGA<信長>-下天の夢-』『桜華に舞え』と日本ものの芝居が控えている。さらに11月からは、花組が日本ものレビュー(歌と踊りのステージ)『雪華抄』を上演予定。2014年4月の100周年記念公演『宝塚をどり』以来、久しぶりの和物ショーに期待が高まる。

 宝塚だから見られる“和の粋”。これからも、日舞と洋楽のコラボレーションは、私たちにたくさんの夢を見せてくれるだろう。

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