テレビが報じない熊本地震「奇跡のエピソード」の画像
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「震度3くらいの地震は1時間に何度も来る。平衡感覚がなくなってきて、なんだか、ずっと船酔いしているような気分です……」(益城町保険福祉センターで避難生活を送る40代男性) 地震発生から7日以上が経過した時点で、震度1以上の余震は700回を数える。被災した住民たちの苦難は続く―― 。

 風光明媚な熊本を突如として巨大地震が襲ったのは、14日の21時26分頃のことだった。最大震度7を観測した益城町では、木造の住宅が相次いで倒壊。激しい恐怖から屋外に出た住民たちは、学校の校庭や現在避難所となっている保険福祉センターを目指した。地元住民の30代女性が明かす。「夫と2人で外に飛び出すと、あちこちから悲鳴や泣き声、“助けてくれ”という絶叫が聞こえてきました。私は恐ろしくてもう、何がなんだか分からない状況で、ただただ夫の腕にしがみついて歩いていましたが、そのときの“臭い”は、はっきり覚えています」

 何の臭いがしたのか?「とにかくあたり一面がガス臭かったんです。家がぺしゃんこに崩れていて、ガラスの破片や屋根瓦などが散乱していましたが、その中にプロパンガスのボンベも転がっていたんです」 益城町では地震の影響で、そのボンベが外れ、ガス漏れを起こしていたようだ。現地を取材したフリーライターの荒井香織氏が言う。「これは、一歩間違えれば大参事となったかもしれない状況でした。あたり一面にガスが充満していたわけですから、何かの拍子で引火すれば連鎖で大爆発を起こしていたかもしれない。地震発生が21時過ぎと夕食の時間を過ぎていたため、最悪の事態を免れたのでしょう」

 奇跡的に一命を取り留めた女性もいるという。「50代のある女性は、14日に被災後、夜が明けたので昼頃に自宅を見に帰ったそうです。2階部分は片側が大きく潰れていたそうですが、1階部分は無事だったので恐る恐る家に入り、着替えやお菓子などをリュックに詰めていたといいます。すると、外から“ワンワン!”という犬の鳴き声が聞こえてきたのだそうです」(現地の消防関係者)

 女性は、14日の地震のあと姿が見えなくなっている愛犬が帰ってきたのだと思い、慌てて家を出たという。しかし、愛犬の姿はなし。「10分くらいあたりを探してみたそうですが、結局、犬は見つからなかった。それで家に戻ると、なんと持ちこたえていた1階部分もペシャンコに潰れていたそうです。女性は愛犬が救ってくれたのだと声を詰まらせていましたね」(前同) 避難生活の長期化が予測される現在、被災住民の苦労は想像を絶するものだ。政府には、財産を失った被災者への手厚い支援を期待したい。

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