自衛隊の実力は? 日中韓&北朝鮮「本当の軍事力」徹底検証の画像
自衛隊の実力は? 日中韓&北朝鮮「本当の軍事力」徹底検証の画像

 軍拡に血道を上げる中国、36年ぶりの党大会で堂々と核保有を宣言した北朝鮮。緊張を増す極東軍事情勢!!

「極東、東南アジア諸国では近年、軍拡路線の国が多いですが、これは中国の存在が大きいですね。中国が軍拡に血道を上げているため、周辺諸国でも国防上、それに備えなければならないからです」(軍事ライターの黒鉦英夫氏)

 世界最大、13.7億人の人口を誇る中国。かの国が軍拡路線をひた走る理由は、“体制維持”にあるという。「トップの習近平国家主席が2012年の党大会で掲げた目玉政策“中国の夢”とは、清の時代の最大版図の復活を含意しています。これはつまり、“経済力をつけ、軍備を整えた今こそ、失われた領地を取り戻していくときだ”ということ。拡大政策はナショナリズムを高揚させますから、一党独裁を敷く共産党幹部の腐敗や、社会矛盾に対する国民の怒りを惑わすことができるという計算もあります」(全国紙外信部記者)

 南シナ海の岩礁を埋め立て滑走路を敷設。そこにミサイルを設置し、軍事拠点化する動きは、こうした拡大政策の典型だ。「日本固有の領土である尖閣諸島の領有を宣言したのもそうです。他にも中国はフィリピン、ベトナム、台湾、インド、ロシアなどと領土問題を抱えていますが、どの国相手でも強気な姿勢を崩していません」(前同)

 中国の国防費が初めて日本のそれを上回ったのは、04年のこと。以降、日本の国防費がほぼ横ばいで推移しているのに対し、中国は毎年前年比2桁の増額を記録。現在の国防費は約150億ドルで、これは日本の約3.6倍に達する。「中国の国防費は極めて不透明なものです。新兵器の開発費や核弾道ミサイルの改修費用などは、公表値に含まれていませんからね。実際の総額は、公表された金額の2倍近くになるとの見立てもあるくらいです」(前出の黒鉦氏)

 自衛隊の約10倍の規模を誇る中国人民解放軍。現役総兵力233万人は、堂々の世界一だ。「人民解放軍はこれまで陸軍主体でしたが、近代化に合わせて海空戦力を拡充しています。そのため、余剰となった陸軍の兵力を“17年までに30万人削減する”と発表しました。中国国防部の報道官は、これを“軍縮努力で世界平和に寄与する”とうそぶいてみせましたが、高止まりの人件費を抑制し、その分、装備の近代化を図るための方策にすぎません。中国政府は“30年までに人民解放軍を世界一の軍事大国アメリカに並ぶ存在にする”という目標を立てているといわれていますが、その軍事的野心は膨らむ一方ですよ」(前同)

 同時に中国は、これまで7つあった軍区を、“5つの戦区”に再編している(東部戦区=対日本・台湾、南部戦区=南シナ海、北部戦区=対ロシア・北朝鮮、西部戦区=対中央アジア・イスラム過激派、中央部戦区=首都北京の防衛)。「呼称も軍区から“戦区”に変更されました。これまでは各軍区ごとに結束し、兵器の転売や賄賂の要求など、やりたい放題でした。また、政権中枢の派閥ごとに軍区が色分けされていた側面もあります。習主席はそうしたかつての“軍閥”を彷彿させる悪弊を一掃し、自らが軍を完全に掌握するために、こうした改革に着手したわけです」(前出の外信部記者)

 習政権は軍部を掌握するために改革の大ナタを振るうと同時に、南シナ海では米軍や周辺諸国に対し“コワモテ路線”を貫いている。「国際社会は中国のこうした姿勢に慣れ、軍拡を放置していると取り返しのつかないことになりますよ」と警告するのは、防衛省幹部だ。

「残念ながら、明日にでも中国と総力戦になったら、日本は勝てません。中国は核保有国ですし、敵地を攻撃するための爆撃機なども保有しています。日本は専守防衛のための高度な兵器を取り揃え、自衛官は勇敢で勤勉ですが、やはり防戦一方では限界がある。同じ理屈で言えば、核ミサイルを運用できる北朝鮮にも勝ち目がありません。韓国とは総力戦をやっても十分に勝利することができますが、中国には負ける。北にも核を使われたらお手上げです。痛恨ですが、これが偽らざる現状なのです」

 とはいえ、現代の国際社会で、他国を侵略する戦争行為が発生する可能性は限りなくゼロに近い。「ただ、係争中の領土を巡る局地紛争なら十分に起こりえます。その際に戦闘に勝利するためには、想定されるシナリオを研究し、必要な兵器、人員を確保しておき、なおかつ、迅速に戦力を投下できるための法令を整備しておくことが重要となります。さらに、集団安全保障体制を構築しておくことも不可欠です。日本なら米軍の支援を受けることが可能ですし、欧州ならばNATOが機能しています。現在のトレンドは、一国で完結する防衛ではなく、自国が侵略行為を受けた場合は、同盟国と協力して、これを撃退するというものなのです」(前同)

 現在、自国のみで多正面(複数の前線)の戦闘をこなす能力のある国は、アメリカ、ロシア、中国以外にはないとされる。「日本の不幸は軍事超大国の一つである中国と、厳しく対峙していることです。もし、日本の周辺に中国や北朝鮮のような“腕力にモノを言わせてでも”という国がなければ、自衛隊の備えもずっと軽微でよかったはずだからです」(同)

 だからと言って、日本の軍事力が貧弱であるわけではない。発生確率がゼロに近い一対一の“タイマン総力戦”を想定しなければ、中国相手にも十分優位に戦える能力を備えている。以下、韓国、北朝鮮も交え、極東4か国の陸海空の戦力を順に眺めていきたい。まずは陸軍戦力から。日本以外の中国、韓国、北朝鮮は自国が大陸にあるため、伝統的に陸軍主体の軍隊を運用してきた。「総兵力では日本は最下位ですが、陸戦も局地戦闘では“量より質”です。米海軍の特殊部隊シールズがビンラディンを暗殺したミッションのように、高性能ヘリで隠密裏に展開し、少数の精鋭が目標を制圧するような動きが求められるでしょう。その際は、後詰めとして数台の戦車や装甲車両が潜み、さらに後方からは自走榴弾砲が敵が展開するエリアを狙っている……といった戦術が採用されるはずです」(元陸自幹部)

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