白石氏の調査によると、日本とほぼ同じ官民共通の番号制度が導入されている韓国では、2008年1月以降、14年1月までに企業などから流出した個人情報は、延べ2億3719万人分に及ぶという。韓国の人口は約5000万人。人口をはるかに上回る被害が、6年間で発生したのだ。「結果、なりすましによる詐欺被害が深刻化し、制度への疑問が高まりました。同じく官民共通番号制度を導入しているアメリカでも、成人の5%がこうしたなりすまし被害に遭っています。日本でも、2~3年後には皆さんのマイナンバーを記載したリストが出回るようになるでしょうね」(前同)

 昨年、甘利明・前経済産業大臣が「♪私以外、私じゃないの~」と『ゲスの極み乙女。』の替え歌でアピールしていたマイナンバーだが、容易に“私以外”に情報が漏れてしまいかねないうえ、甘利大臣、『ゲス』の川谷絵音と、関係者が軒並み“情報流出”で大炎上、縁起が悪いこと、このうえない。シャレにもならない、この情報管理体制の甘さへの危機感も含め、冒頭のような「マイナンバーを廃止せよ」との、導入前からあった主張は勢いを増すばかり。同制度が憲法で定められたプライバシー権や人格権に違反すると訴える『違憲訴訟弁護団』の瀬川宏貴弁護士は、こう語る。「マイナンバーが民間に拡大されることで、情報流出の危険はさらに高まります。プライバシーは一度漏洩したり、データマッチング(名寄せ)されるなどしたら、“なかったこと”にするのは不可能。政府は、情報は漏洩しないと説明していますが、この状況で信頼できるはずがありませんよ」

 このマイナンバー、初期費用に約3000億円。さらに、毎年の運営費用には数百億円かかるといわれる。我々庶民の血税を使って、それだけのものを作るメリットは、本当にあるのだろうか。「役人の目的は、一にも二にも税の徴収。“所得をガラス張りにして、きちんと税金を払っていない人から徴集して公平さを確保する”と言いますが、とにかく1円でも多く、100%取り切りたいという財務官僚の“見果てぬ夢”の結晶なのです」(前出の全国紙記者) 国民の利便性など、あくまで方便。狙いはやはり、そこにあったというわけだ。さらに、取材の結果、それ以上の“本音”までも明らかになってきた。

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