「マイナンバーのシステムの欠陥がいろいろといわれていますが、あれは、実はイチから作ったものではなく、住基ネットのシステムに“増築”したものなんです。基礎から作らないで、ありものを流用したような、そんなちぐはぐのシステムでは、そりゃ“倒壊”しますよね」(経済誌記者)

 住基ネット正しくは「住民基本台帳ネットワーク」という言葉を覚えているだろうか。02年に国民全員の住所、氏名、生年月日、性別の情報を自治体間で共有するために作られたシステムで、国民全員に11ケタの番号が与えられる「元祖マイナンバー」と言ってもいいもの。違いは利用範囲の広さで、マイナンバーは行政や民間サービスの場で使えるが、住基ネットはほぼ役所内部でしか閲覧できない。「とはいえ、発想としては“番号による国民財産の管理”という点で同じです。国民に何のメリットもないのに、情報の流出リスクだけがある同制度は散々な不評で、発行された“住基カード”の普及率は14年かけて、わずか5.5%。更新手続きも昨年末、ひっそりと終了しています」(前同)

 システム構築で400億円、13年間の運営維持費など考えると数千億円をかけた、壮大なムダ遣いだったわけだ。しかし、なぜ、そんなトラブルも予見できた“過去の遺物”を使ったのだろうか?「“住基ネットの失敗を認めたくない”というメンツ意識もありますが、主目的は天下り先の確保。政府のIT関連事業は、住基ネットもマイナンバーも、常に同じ数社が受注するようになっていて、ここが官僚たちの受け入れ先となるのです」(同)

 さらに、マイナンバー制度の導入にあたってシステム運営のために『地方公共団体情報システム機構(J-LIS)』という組織が立ち上げられたが、実態は住基ネットの情報を管理するために作られた『地方自治情報センター』を改称し、組織を拡充しただけ。これも、完全に天下り組織だ。「マイナンバー制度自体、目に見える箱モノではないだけで、新しい“公共事業”ができただけのこと。その結果、欠陥だらけの“手抜き工事”のシステムができてしまい、その費用と不都合だけが国民に押しつけられるのですよ」(同)

 国民よりも、自分の利益。なんともガッカリな、役人の発想ではないか。「新しい仕組みができたら、その裏で税金を掠(かす)め取ろうとする役人や企業の思惑を疑ったほうがいいですね」と、評論家の小沢遼子氏が語るように、このマイナンバー制度が、最初から官僚や関係者たちの“食いぶち稼ぎ”の茶番なのだとしたら、そんなものにつきあう道理はない。「住基ネットで税金を食い荒らし、今度はマイナンバーで同じことを行う。役人にとっては、金が使えれば、その成否はどちらでもいいのです。しかし我々は、その金が自分たちの税金であることを忘れてはいけない。常に、それが庶民の利益になるかどうか厳しくチェックして声を上げていかなければ、この先も同じようなムダ事業が作られかねないのです」(前出の全国紙記者) オイオイ、こんな適当なことでいいのか!? 役人の天下りのための「マイナンバー」、いったい、どこへ向かうのか!!

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