宝塚・男役スターが突然「女役」に転身!? 超異例キャリアの元タカラジェンヌの画像
宝塚・男役スターが突然「女役」に転身!? 超異例キャリアの元タカラジェンヌの画像

 2016年5月8日に宝塚歌劇団を卒業したばかりの大湖(だいご)せしる。翌5月9日には内博貴主演のミュージカル『グレイト・ギャッツビー』への出演が発表され、トップスター・トップ娘役以外のタカラジェンヌとしては、異例のスピードで“再デビュー”を果たすことが明らかになった。

 大湖せしるは、タカラジェンヌの中でもひときわ数奇な経歴を持っている。娘役として印象的な役を多数演じている彼女だが、宝塚歌劇団入団時は男役として配属。2012年まで男役として活躍していたのだ。

 実は、宝塚において男役から娘役に転向するということは、そう珍しいことではない。例えば、元宙組トップ娘役の紫城るいや、月組トップ娘役の愛希れいかも当初は男役で、娘役転向後に花開いた存在だ。ただ、大湖せしるの場合は、通常の娘役への転向とは事情が少し異なる。

 男役として、雪組に配属された大湖せしるは、トップスターへの登竜門と言われる新人公演で主演を経験。以降、男役スターとして人気を集めていた。「男役10年」と言われる宝塚の中において、自身の男役像を追求していたが、突如11年目に娘役への転向を発表する。

 まだキャリアの浅い時に転向するケースはよくあっても、10年を超えてからの転向は極めて異例。さらに新人公演で主演を務めながら、後に娘役に転向したのは1977年の条はるき以来となり、宝塚でも珍しい出来事として当時大きな話題となったほど。

 男役スターとしての大湖せしるには多くのファンがおり、苦悩もあっただろう。しかし、結果としてこの転向は「成功」。男役10年のキャリアを活かし、独特の色香のある娘役の誕生となった。

 転向のきっかけは、入団10年目に『ロミオとジュリエット』で女性の役である「愛」を演じたこと。「男役をやりきった」「娘役として進化したい」と考えて決断したという。娘役への転向後には、『春雷』や『アル・カポネ』といった作品でヒロインを担当。大劇場公演『ルパン三世』の峰不二子役では、ファンに強い印象を残す名演技を見せた。

 男役のキャリアを存分に活かした、強く自立した女性像。大湖せしるの娘役には大きな魅力があった。退団公演となった『るろうに剣心』でも、メインキャストである高荷恵を好演。原作でも人気の高いキャラクターを見事に舞台上で息づかせた。

 退団後に芸能界から身を引くタカラジェンヌも少なくないが、大湖せしるの選んだ道はやはり舞台。『グレイト・ギャッツビー』の後には、ミュージカル『クロスハート』にも出演予定となっている。大湖せしるの女優としての第二章は、まだ始まったばかりだ。

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