仮に、一般的によく飲まれている薬だからといって、問題がないわけではない。たとえば、市販の風邪薬もその一つ。製薬会社社員が明かす。「薬局で気軽に買えるような風邪薬の副作用に、スティーブンス・ジョンソン症候群があります。薬を飲むだけで、あざや水泡が多発するなど皮膚の異常の他、眼球が赤く腫れて失明するなどの症状が出る。最悪の場合は死に至り、しかも毎年、かなりの被害者が出ているんです」

 頭痛薬として一般的になった『ロキソニン』も大きな問題を抱える。「胃腸など消化器系に相当な負担を与え、胃潰瘍や腸閉塞をもたらす可能性があります。処方箋の場合、胃腸のダメージを和らげる薬を同時に出すこともありますが、その分の負担も体にかかるわけです」(前同)

 前出の内科医も、「薬を飲むための薬は、体内機能を余計に狂わせる」と警鐘を鳴らす。中高年層になじみの深い湿布も油断できない。「モーラステープという一般的に処方される湿布がありますが、これは光線過敏症を招きます。使用した部位が太陽光などを浴びると、そこだけ赤くかぶれる。しかも、2倍、3倍に腫れあがったまま、ずっと残ることもあります」(前出の製薬会社社員)

 そして、咳がひどいからと病院でもらった薬が、実はモルヒネとほぼ同じ成分ということも珍しくない。「鎮痛作用はモルヒネの20%以下の医療用のものとはいえど、麻薬性を持つことに変わりはありません。それを理解したうえで、慎重な服用が必要です」(前同)

 薬の効果は良い意味でも悪い意味でも絶大なのだ。しかも、この製薬会社社員は、「そもそも、薬の服用が腎臓や肝臓にかなりの負担をかけることに留意してほしい」と話す。続けて、「加齢は内臓の機能を衰えさせます。なので、以前に問題なく使っていたとしても、中高年層になって副作用がより強く出る可能性があります」

 医薬品を取り巻く環境変化も、市民に大きな影響を与えている。最近、利用が推奨されているジェネリック薬品も、その一つ。先発医薬品と同等の効果を認められながら、低価格で購入できるのが、最大の売りだ。どちらを選ぶかはよく話題になるが、前出の岡田名誉教授は「ジェネリックはやはり不安」と言うのだ。「先発医薬品とジェネリックは、成分が同じというだけで作り方が違います。そうなると、服用時の薬の溶け方が変わってきますし、当然、効き目も変わってくるわけです」(前同)

 医療業界に詳しい「コンサナリスト」(コンサルタントとジャーナリストの両面を持つ)の川越満氏も、まったく同じ意見だ。「材料が同じ料理でも、一流シェフが作るのと一般人が作るのでは、味がまったく違いますよね。医薬品にも同じことが言えます。特に、睡眠薬の場合はジェネリックのほうが効きにくいという話をよく聞きますので、実際に悩んでいる人は、薬を変えてもらうか、先発医薬品に戻してもらうべきです」

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5