反原発の機運が高まれば、自民党への逆風は強まる一方。今年5月、小泉元首相はアメリカのカリフォルニア州サンディエゴを電撃訪問。その訪米にも同行した前出の常井氏は、こう語る。「小泉さんは、東日本大震災時に米軍による救援活動『トモダチ作戦』に参加した元兵士ら12人と面会しました。彼らは当時、福島第一原発事故で発生した放射能を洋上で浴び、健康被害を受けたとして、東電や原子炉メーカーなど5社を相手に、現地の裁判所に集団提訴しているのです。除隊後、生活に困窮する人も多く、小泉さんは彼らに対して、1人1時間をかけ、作戦時の様子や健康状況を、涙ながらにヒアリングしました」

 去る原発事故のフォロー、そして米軍、アメリカ政府との接点さらに、「都知事選にも、小泉元首相が絡んでいるともっぱらです」と言うのは、野党選対スタッフ。ご本人が出馬!? 「いや、出るのは、小池百合子元防衛相ですよ。小泉さんとベタベタだったけど、だからこそ、安倍さんとは反目。その結果、自民都連の公認を得ないまま、都知事選に立候補する運びとなったのです」(前同)

 続けて、「2012年、党総裁選で石破茂元防衛相サイドに応援についたのが、小池さんの運のツキでした。結果は安倍さんの圧勝。で、無役で“座敷牢”に甘んじることとなってしまった」 さらに続けて、「小泉元首相の“一押し”があって、小池さんが都知事選出馬を決断したという話です。舛添要一氏が勝利した14年の都知事選では、細川護煕元首相を担ぐも敗退した小泉氏は、やはり、どうしても自民党に勝ちたい。院政を敷いて、東京都政を牛耳ることを考えているのでは?」

 にわかには信じがたいが、純一郎氏が糸を引くとなれば、自民党には大打撃だ。加えて、息子もである。今や永田町最強の“集票マシーン”との声もある、小泉進次郎氏だ。「応援に駆り出される選挙区は、自民党劣勢といわれる重点地区ばかり。そして、“TPP反対”としてきた安倍首相が、TPPにゴーサインを出し、票田である農家の方々からソッポを向かれる中、農林部会長に任命されたのです。これはキツイですよ」(前出のベテラン政治記者)

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が、こう語る。「自民党が重点選挙区とする地域は、TPP反対のところばかり。そこでは、JA(全国農業協同組合)でさえ、自民党候補者の支援をしていない状況にあります。進次郎氏の立場としては、TPPに賛成とも言いづらく、また、反対とも言えないという、難しい立場にあります」

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