由伸ジャイアンツ「40年ぶり最下位」の現実味の画像
由伸ジャイアンツ「40年ぶり最下位」の現実味の画像

 打てない、守れない、勝てない。“常勝軍団”の栄光はどこへやら、力強さのかけらもない戦いぶりに“悪夢”が現実味を増してきた!

「ああ……長嶋さんの“メイクミラクル”が懐かしい」 筋金入り巨人ファンのスポーツ紙記者がこう嘆くのは、もちろん高橋由伸監督率いるジャイアンツのこと。「7月7日終了時点で、36勝39敗の借金3。首位広島との差は9.5ゲーム。今の巨人が、これを逆転する“ミラクル”を起こせる気がしないんですよ」(前同)

 野球解説者の江本孟紀氏も、こう語る。「ここまで離されると、追い越すのは難しい。もう首位は諦めて2~3位狙いでCS出場に照準を絞るしかない、というのが現実です」 常勝球団としては受け入れがたいことだろうが、そもそも関係者の間では、今年のチームは開幕前から「堀内政権と第二次原政権を含めた12年間で最弱」の烙印を押されていたという。「そもそも監督交代が急。さらに主力の高齢化と補強の失敗、そして野球賭博問題と踏んだり蹴ったり。“なんとかAクラスに入ってCSに出られれば御の字”というのが球団の本音でした」(球団関係者)

 しかし、いざ開幕してみると意外や意外、エース菅野智之の快投もあって、しばらくは首位をキープ。「もしかしたら、このまま最後まで行くのでは」と淡い期待を抱かせるほどだった。だが、5月上旬、ヤクルト、中日に2度の3タテを食ったあたりから歯車がガタガタに。そして、6月12日に交流戦でソフトバンクに3タテを食らい、ついに借金生活に突入したのだ。このとき「負けるべくして負けた」とチームの立て直しを誓った由伸監督だが、その後も亀井、立岡、クルーズ、小林ら有力選手が次々と負傷。状況は悪化の一途、というより最悪だ。

「今、気を吐いているのは、投の菅野智之、打では坂本勇人の2人だけ。特に菅野は、今季は過去最高の出来といってもよく、チームが打てさえすればもう10勝はしているはず。不憫ですよ」(前出のスポーツ紙記者) この体たらくに、球団内でも、ついに恐るべき声が上がり始めた。「会議の席で“今季はCSどころか、41年ぶりの最下位も覚悟しておいたほうがいい”と言いだしたスタッフがいたんです。“二度と言うなよ!”とはきつく言いましたが、みんなの危機感はひしひしと伝わってきます」(前出の球団関係者)

 巨人が歴史上、最下位になったのは一度だけ。長嶋茂雄監督の就任1年目、1975年のシーズンだ。「そういえば、あの年も優勝は広島でした。これは単なる奇遇ですが、それ以外にも、今年の最下位を思わせる要素はいくつも浮かんできます」(前同) その最大のものは、なんといっても「貧打」だろう。何しろチーム打率.245(数字はすべて7月7日時点)は阪神をわずかに上回るリーグ5位。.327で個人打撃成績セ・リーグ2位につけている坂本以外は惨憺たるものだ。もう一人、リーグの打撃13位にいる村田修一は、打率こそ.297と“好調”に見えるが、得点圏打率は.246。チャンスに弱く、あまり「勝利に貢献している」とは言えない。

「2つめは“投壊”です。菅野以外の先発陣は総崩れ、中継ぎも抑えもピリッとしない。チーム防御率はリーグ5位の3.66と低迷しており、広島1強であとは団子という状況でなければ、とっくにBクラスですよ」(前出のスポーツ紙記者)

 6月25日のDeNA戦で待望のマイコラスが復帰したものの、5回までに3度も先頭打者の出塁を許すなど精彩を欠き7安打4失点と、まだ盤石とは言い難い。そして、投手の不安定さを補うどころか、足を引っ張っているのが「拙守」だ。「今年の巨人は、ボーンヘッドが多すぎます。エラーが多かったり、投手が当然入るべきベースカバーに入っていなかったり。厳しかった原前監督時代と比べて“緩み”が出ているような気がします」(民放局スポーツ担当記者)

 その代表格は、坂本だ。打撃は抜群で、本来守備にも定評がある選手だが、実はエラーや悪送球も多い。「6月4日の日本ハム戦では3回に盗塁を刺そうとしたキャッチャーの二塁送球を捕り損ね、5回には一塁への送球がバウンド。こうした“マルチエラー”が本当に多いんです」(前同)

 ようやく打撃好調になってきたギャレットも、5月21日の中日戦で1イニングに2失策を記録するなど、守備のお粗末さが目立つ。そうしたことも含め、野球評論家の黒江透修氏は、「巨人の選手は連携せず、それぞれ勝手に野球をやっているように見える」と指摘する。この「大局観のなさ」が4つめの不安要素。

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