9割が死ぬ「屋内熱中症」の恐怖 酷暑は部屋の中こそ危ない!の画像
9割が死ぬ「屋内熱中症」の恐怖 酷暑は部屋の中こそ危ない!の画像

 炎天下で運動もしないし、自分には無縁……なんて思っていませんか? 実はアナタの自宅が危ないんです!?

 7月に入り、全国各地で37度を超える猛暑日を記録した日本列島。そこで怖いのが熱中症だ。「総務省消防庁の発表によると、6月27日から7月3日までの1週間だけで、2800人余りの人が熱中症で病院に搬送されました」(全国紙社会部記者)

 外に出なければ大丈夫……かと思いきや、実は、熱中症による死者は屋内のほうが多いという。「東京都監察医務院の死因調査によれば、東京23区内で、この5年間に熱中症で死亡した人の合計は365人。うち、9割にあたる328人が屋内で発見されています。そのほとんどがエアコン不使用の状態でしたが、22人はエアコンを使用していたにもかかわらず、死に至りました」(前同)

 だが、外より気温が低いはずの屋内で、なぜ熱中症になってしまうのか。新潟大学名誉教授の岡田正彦氏(医学博士)は、こう語る。「屋内で熱中症になる原因は、体温の上昇です。特に要注意なのが梅雨の終わりの時期特有の高温、高湿度の状態。人は体温が上昇すると発汗し、汗が乾くことで、皮膚表面から体温を下げようとします。しかし高湿度だと、発汗しても汗が乾かず、体温の上昇を止めることができません。それゆえ、エアコンの除湿(ドライ)機能を活用することが、屋内熱中症を予防する第一歩です」

 実際に、自宅で熱中症になったという50代男性も、まさにこのケース。その恐怖体験を、こう語る。「まだ6月だし、冷房をつけるほどでもないと思い、窓を開けたまま寝ていました。すると、途中で喉が渇き、目が覚めたんですが、体が燃えるように熱くて、体内でマグマが煮えたぎっているような感覚でした」

 冷たい緑茶を飲んだが、「飲んだそばから尿意を催し、すぐ出てしまうんです。その間、汗でビッショリ。それでも緑茶を飲み続けましたが、今度は下痢の症状が出始めまして。そのうえ、後頭部がズキズキ痛み、意識もフラフラしてきたため、これは一大事だと思い、朝になって病院に駆け込みました」(前同)

 診断結果は熱中症。もし、このまま意識を失っていれば命の危険もあっただろう。「病院では、対処法が間違っていたことを指摘されました。緑茶ではなく、スポーツドリンクや梅干しなど、塩分やミネラルを含むものを摂取していればよかったんですが……」(同)

 また、前出の岡田氏は、屋内熱中症になりやすいケースを、こう指摘する。「お酒を飲んだ際は、特に注意が必要。人間は自律神経の働きにより、体温を一定に保っていますが、アルコールを必要以上に摂取すると、自律神経がうまく働かず、結果的に体温が上昇します。特に、お酒を飲むと顔がすぐに赤くなる人は、体温上昇のリスクが長時間続くので、危険です」

 飲み会帰りや晩酌後は、就寝時のエアコンが必須だ。加えて、「血圧の降圧剤を服用している方も注意が必要。薬によって血管の拡張と収縮を行っているので、体温上昇時に、それを緩和する機能が弱っています」(前同)

 さらに、水分摂取にも、意外な落とし穴が。「メディアでよく、“一日2リットルの水分を”と喧伝されていますが、必要以上に水分を摂ると、胃液が薄まり、食欲が減退。栄養状態が芳しくなくなります。そのうえ、必要以上に取り込んだ水分を尿にするため、体のエネルギーを使ってしまう。すると、気持ちが悪くなる、脈が乱れるなどの中毒症状が出ることも。そこまでいかずとも、体がだるいなど夏バテ状態になることがあります」(同)

 喉が渇いた、汗をかいたと感じたら、水分を摂るくらいで十分だという。「緑茶やコーヒーなどは利尿作用があることは事実ですが、日中、喉の渇きを感じた際であれば、摂っても問題ありません」(同)

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