ただし、都知事選の結果次第では逆転留任もありうるという。「“小池の乱”を起こし、自民党都連を敵に回して立候補した小池百合子が勝利すれば、遠藤さんは留任でしょう。小池さんと森喜朗東京五輪組織委員会会長は、森さんが自民党議員だった時代から水と油。互いに憎み合っています。遠藤さんは小池さんとも森さんとも関係は良好で、小池都知事誕生となったら、“自分が間を取り持つ”とアピールできるからです」(自民党細田派関係者)

 このように先の参院選同様、都知事選の行方も改造人事に少なからず影響を与える。「小池さんが先手必勝で立候補した後に自民都連が担いだ増田寛也元総務相は、野党統一候補の鳥越俊太郎さんや小池さんには知名度で劣るため、苦戦が予想されています。もし落選した場合は、都連会長の石原伸晃経済再生担当相の責任問題に発展します。同時に増田の担ぎ出しに動いた茂木敏充党選対委員長の評価も下がるはずです」(自民党関係者)

 増田氏を是が非でも都知事にしたい石原、茂木両人は結果が分かる今月末まで生きた心地がしないだろうが、もう一人、都知事選の行方を注視している御仁がいる。一時は“安倍首相最大のライバル”と目されていた石破茂地方創生担当相だ。「実は小池の乱の裏には石破さんがいるのです。最近は“総裁任期延長はあってもよい”と発言するなど、安倍首相の軍門に下ったイメージがありました。“総裁任期延長は認めず”と公言する“女刺客”の野田さんとは大きな違い。ただ、石破さんは枯れていなかったのです」(前同)

 現在、21名からなる石破派を率い、決起のタイミングを計っているという石破氏。「小池さんが都知事選に出馬する前に石破さんと密談を繰り返していたのは、永田町では誰もが知る話で、官邸サイドの逆鱗に触れています。石破さんは小池さんの参謀に、子分である鴨下一郎元環境相を派遣していますからね。小池の乱は“石破の乱”と読み解くこともできるのですよ」(同)

 安倍首相に対し反旗を翻す結果となった石破氏は、今回の改造でも「地方創生相留任で“飼い殺し”」(同)という。ここらからは重要閣僚のポストを見ていこう。「菅義偉官房長官と麻生太郎財務相は留任でしょう。2人は政策面でぶつかることがありますが、その“反目のバランス”の上に安倍政権は成り立っているからです」(ジャーナリストの安積明子氏)

 安倍首相は、どちらかを外すと、もう一方の力がいびつに大きくなることを恐れているのだとか。両者は、いわば安倍政権の“飛車角”に当たるわけだ。ただ麻生氏は、「最近、外国に行くのは疲れるんだよな」と周囲にこぼすようになっているというから、本人は党務に専念したい気持ちがあるのかもしれない。

 大規模な“人事異動”はないと予想される今回の改造にあって、“台風の目”となりそうなのが、岸田文雄外相だという。外相歴は長く、首相の信任も厚いため留任が既定路線のはずだが、彼は“宏池会(岸田派)のプリンス”。自身に異心がなくとも、派閥の突き上げがあるようだ。

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