「宏池会の面々は、岸田さんを幹事長にしたいのです。安倍首相は党内ハト派で改憲にも慎重な姿勢を見せる宏池会を冷遇してきましたが、岸田さんは従順に内閣に仕えている。派閥にしてみれば、そろそろ自分たちにも“春”が来てもよいはずと考えているわけです」(前出のデスク)

 岸田氏が党幹事長になった場合、空いた外相のポストを狙っているのが、前出の茂木氏(衆=額賀派)だというから滑稽である。「オバマ大統領の広島訪問を成功させたし、年末にはプーチン大統領との北方領土交渉が控えているため、岸田さんは外相留任が濃厚。ただ、万が一、幹事長に抜擢された場合は、安倍首相は稲田さんを後任にあてたい意向のようです」(前同)

 岸田氏が宏池会のプリンスなら、“自民党のプリンス”こと小泉進次郎氏(衆=無派閥)はどうか。「毎回入閣の噂がありますが、今回も打診があっても固辞するでしょう。ただ、党の農林部会長であるため、農水副大臣なら受けるといわれています。一部では復興相就任とも報じられていますが、実際にはそんな話は聞こえてこない」(同)

 参院選で激戦の神奈川選挙区を勝ち上がった三原じゅん子氏(参=無派閥)にも、入閣の噂がある。「実は、参院選で三原さんをサポートしていたのは首相の覚えめでたい丸川珠代環境相でした。首相としては、先に丸川さんを官房副長官などのポストに据えたい意向のため、三原さんの入閣は見送られると思います」(前出の党関係者)

 最後に党人事だが、二階総務会長、高村正彦副総裁の留任は決定的。幹事長は岸田案が一部で浮上しているが、谷垣禎一氏の留任が現実路線。心配なのは自転車で転倒して脊椎を痛め、入院中の体調面だが……。政調会長は、引っ張りだこの稲田氏の入閣があれば後任が決まる。茂木選対委員長は先にも触れたように都知事選の結果次第といったところか。「メディアは参院選で安倍政権が改憲勢力を確保したと報じていますが、党内には“勝ち方がよくなかった”という意見も多々あります。TPP、原発、沖縄など政策課題がある一人区は全敗だったからです。今回の改造も、その実は慎重に行われるのではないでしょうか」(政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏) 当選3回以上の入閣待望組が約70人いる自民党。安倍首相のお手並み拝見といったところか。

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