ゆま「早速ですが、『志村魂』を始められたキッカケは何だったんですか? もう10年以上前から続けていらっしゃるんですもんね」

志村「元々は50歳のときには今の構想はあったんだよ。結局、55歳から始めたんだけど。理由は『(8時だョ!)全員集合』なんかもそうだったけど、お客さんの前に立たないと、ウケているかどうか分からないんだよ。(テレビ収録のような)スタジオではスタッフの反応しか見えないからね」

ゆま「お客さんの生の反応に触れたいということですね」

ゆま「舞台は同じセリフでも、ちょっとした言い回しやタイミングによって、お客さんの反応が全然違います。私も『志村魂』で初めて舞台をやらせてもらって、それはすごく感じました」

夏希「地方によっても全然違うよね。私が一番驚いたのは、『志村魂』で島根県に行ったときでした」

志村「島根はすごかったね~。俺は当初、島根の人はあまり笑わないんじゃないかという勝手な先入観があったんだけど、幕が上がる前から拍手が鳴りやまなかったもんな。あれは俺もビックリしたよ」

ゆま「私も震えました。あと、志村さんの舞台に立たせてもらって驚いたのは、小さなお子さんから年配の方まで、お客さんの層がすごく幅広いんですよね」

志村「うん。俺はとにかく“分かりやすい笑い”を目指しているんだ。俺も若い頃はついつい“若い奴だけが笑えばいいんだ”と思っていたところがあったんだけど。当時は小柳ルミ子さんや天地真理さんの前座をやっていて、お客さんも若い奴ばっかりだったから。ところがあるとき、三波春夫さんの前座をやったら、お爺ちゃん、おばあちゃんばかりで全然ウケなかった。それどころか見てもくれない。“あんたらを見に来たワケじゃない”というように弁当を食ってたりしてね」

ゆま「志村さんでも、そんな経験があったんですね」

志村「もちろん。で、その夜に旅館でネタを練り直してね。“おとめさん”というネタを翌日の前座でやったら、一転してワァ~ッとウケたんだよ(笑)」

ゆま「へえー。“おとめさん”というのは?」

志村「昔からあるお芝居なんだけど、股に手を入れたりするネタなんだけどね。もう下品とか下ネタとか言っている場合じゃないんだよ、とにかくウケたいから。で、これを今度は若い客の前でやったら、またウケたんだよな。要は、年配の方の前でウケるネタは若い世代にも通用するんだよ」

ゆま「それは“分かりやすい”からですか?」

志村「そう。だから『志村魂』も分かりやすいことが大事。いろんな年代の人に来てもらうことが、この舞台の狙いでもあるからね」

  1. 1
  2. 2
  3. 3