夏のドライバー「炎天下でも疲れない」渋滞運転術!!の画像
夏のドライバー「炎天下でも疲れない」渋滞運転術!!の画像

 年にいくつかある長期休暇の中で、特にドライバー泣かせなのが、お盆時期の夏休みと言っていいだろう。帰省に家族旅行に趣味にと多くの人が遠出するため、各地で渋滞が多発。しかも、「冷房をつけていても、太陽光のせいで昼間の車中は暑いし、顔の右半分や右腕だけ日焼けする“運転焼け”も厄介。渋滞なんてハマったら、苦痛で仕方ないですよ」(42・営業職の男性)

 この男性のコメントに、「あるある」とうなずいた読者も多いだろう。ただ、真夏の運転をその程度にしか捉えていないとしたら、実は非常に危険である。「あまり知られていないんですが、実は夏季のドライブ中に熱中症や脱水症状に陥る人が意外と多いんです」(旅行会社社員)

 しかもそれは、エアコンをつけた状態であるうえに、発症するのは子どもや老人ばかりではないのだという。「冷房を入れて運転していたとしても、車内の温度は実はかなり高くなっているんです。しかも、フロントガラスから直射日光が入る状況では、ダッシュボード付近で50度を超えることも珍しくないほど暑い。加えて、車内は乾燥しがちですから、暑さによる発汗と合わせて知らぬ間に脱水状態に陥りがちです」(前同)

 それゆえ、“渋滞熱中症”や“渋滞脱水症状”と呼ぶべき症状に泣く人が毎年、相当数いるのである。直射日光が入らない2列目以降の席だからといって、その恐怖と無縁なわけではない。車の構造上、後部座席はエアコンが効きにくいことが多いからだ。

「対策としては、駐停車する際はできるだけ日陰に停めること。そして、乗車する際に、車中の空気を1分程度入れ替えてからエアコンを入れること。さらに、エアコンの送風口の前にアイスノンのような冷たい物を置いておくと、車内温度が低くなりやすいのでオススメです」(同)

 もっと言えば、乗車するだけでリスクを負うことになる真夏の運転だからこそ、運転時間が長引く渋滞運転には気をつけたいのだ。「暑さで体調が悪くなるだけならまだしも、運転中の体調不良となれば事故にもつながりますからね」(同)

 長期休暇のたびに話題になる“渋滞の名所”は、地形や構造状の問題を抱えていることが多いため、突発的な事故渋滞とは異なり、各機関が発表する予測情報を参考にすれば避けることができる。では、高速で渋滞にハマってしまったら、どうすべきか。「一般道に降りようか、そのまま進もうか……」と悩んだ経験があるはずだ。路事情に詳しいジャーナリストの村松虎太郎氏は、高速道路を走ることをオススメするという。

「高速で渋滞となれば、当然、周辺の一般道も混雑します。普段より交通量の多い一般道を走らなければならず、その際、高速のほうが走行速度が4倍速いというデータもあります。そのため、信号や余計なカーブがない高速とは、かなり時間の差が開きます」

 実際、関東と東海を結ぶ要衝、東名の大井松田IC~御殿場ICは、国道246号線が並走しているが、「東名の渋滞時は、この道もガチガチの渋滞。10分で10メートル進まないこともあるんです。しかも、途中、コンビニや休憩所が少なく、男女問わず森の中に用を足しに行く人を幾度となく見かけました」(前同)

 では、高速を走るとして、どの車線を選べばいいかという問題に突き当たるが、これがまた難しい。「渋滞発生時は多くの車が追越車線に移るため、左側の車線が走りやすい。しかし、前方左車線にJCTの分岐などがあって、そこが混み合っている場合は左車線を避けて、なるべく右車線に移ったほうがいいです。また、前方左車線にICやSAがある場合は、そこに退出していく車が多いため、一瞬は左車線のほうが空きますが、その後、本線に戻ってくるため、今度は逆に混みあいます。それらを見極めながら、車線を変更していくのがいいと思います」(同)

 また、事故渋滞においては、事故が起きた車線を避けて走行するのがベストだと言うが、それを前もって知るのは難しいという。他方、地方に多い“一車線高速道路”となれば、事情は一気に変わってくる。

「一車線の道路で渋滞が起きてしまえば、なす術がない。普段は交通量が少ないから一車線なわけで、一般道に降りたところで替えの道路がなかったり、“酷道”だったりする。渋滞情報を念入りに見ることが大事」(ベテランドライバー)

 また、有名観光地などでの交通渋滞は、高速以上に厄介だ。たとえば、多くの観光客・参拝者が訪れる休日の伊勢神宮は、駐車場に入れるための車列が延々とできる。しかも、通常の渋滞と違って、駐車場が空くのをひたすら待つしかない。これは、愛知・香嵐渓や日本三景・松島、奈良・吉野など、全国の観光地で見られる光景だ。

「当たり前なんですが、早い時間帯に到着するのがオススメ。連休中の伊勢神宮は早朝6時過ぎには近くの駐車場にかなりの台数が停まっていますので、それくらいに行く必要があり、大変ではありますが、その時間からであれば人混みも日中の暑さもないので、スムーズに観光できます」(前出の旅行会社社員)

 また、この時期の高速道路の渋滞では“ガス欠”も天敵となる。SA併設のガソリンスタンドが次々と閉店する昨今。夏休みは、普段と違って慣れない遠方地域を運転することが多く、冬に比べて燃費がよいために、気づけば、車列に埋もれたまま、次のガソリンスタンドまで150キロ以上などという恐怖の事態も頻出しているという。

 たとえば、東海北陸道と北陸道では、世界遺産・白川郷と富山・魚津間を移動する場合、150キロ以上も給油ポイントがない。東北道の岩手山SAから青森東ICまでの155キロ、北関東道の茨城・笠間PAから関越道の群馬・赤城公園PAまでの173キロ、舞鶴若狭道の兵庫・西紀SAから北陸道の滋賀・賤ヶ岳SAの156キロも同様だ。

「政府もこの問題を深刻に捉えており、高速から一度降りても、通行料金を同一料金とする仕組みを順次導入しています。運転の前にガソリンスタンドの場所を確認したうえで、さらに、その仕組みが適用されているかどうかチェックしたいですね」(前出の村松氏)

 また、猛暑の季節は給油の際にも気をつけなければいけない。「給油中はエンジン停止が義務づけられていますが、中には、“車内が暑くなるから、つけたままでいいよ”と声をかける店があります。一見、優しい気遣いに思えますが、夏場はガソリンが気化しやすく、引火する恐れがあります」(ガソリンスタンド店員) 炎天下の長距離運転には、最大限の警戒をして臨んでいただきたい!

 
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