だが、特定支出控除を受けるには、いくつかの条件があるという。ファイナンシャルプランナーの藤原久敏氏が、こう解説する。

「まず確定申告の際に、領収書の添付は必須です。さらに会社から『(仕事で)通常必要』という証明書を、発行してもらわなければならないという高いハードルがあります。しかし、この制度はすでに12年度の改正(13年より適用)によって、対象とされる範囲と金額が拡大。13年に支出した分は、14年から申告が可能になっていて、利用者は1年目の13年度が約1600人、2年目の14年度は約2000人と利用者が急増しています」 まずは夜のお店代の領収書を「(仕事で)通常必要」という証明書を発行するように会社にお願いできる度胸を持てるかだ。

●7割相当が特典としてバックされる『ふるさと納税』

 ふるさと納税とは、都道府県や市町村に寄附をすると、寄附した金額のうち2000円を超える分が、所得税と住民税から差し引かれる制度だ。「自らの出身地にこだわる必要はなく、自分が応援したい自治体でもOK。ただし、控除を受けるためには、原則として寄附した翌年、領収書を添付して確定申告することが条件になる。また、控除される寄附の金額には、年収に応じて上限があります」(前出の税理士)

 たとえば年収300万円なら、2万8000円が上限で、それを超えた分の寄附は対象外だ(ただし、家族構成などで変動があり、総務省のポータルサイトなどで確認が必要)。ふるさと納税は寄附をすれば、自治体から特典が得られるので注目が集まっている。

「牛肉の場合、1万円の寄附では相場は“1キロ”。佐賀県上峰町では『九州産黒毛和牛【チルド】切り落とし1000g』、福岡県久留米市は『九州産黒毛和牛切り落とし1キロ』、大阪府泉佐野市は『はや泉州の郷 黒毛和牛切落しドカ盛1キロ』などがあります」(マネー雑誌記者)

 限度額いっぱいの2万8000円を、ある自治体に寄附するとしよう。寄附をすると、自分が納めた所得税と住民税のうち、2万6000円が控除される。差し引き2000円が、いわば“自腹”。 その一方、寄附をした自治体から、1万円相当のコメが送られてきたとする。つまり、実質2000円で、1万円分のコメを手に入れた計算になる、というわけだ。

「だいたい特典は、寄附金額の3~4割相当です。7割相当の水やコメもありますが、人気が集まるのは地域の特産品の詰め合わせセットです。注意したいのは、旬や人気の特典は品切れや生産が遅れがちになること。寄附をした人の多くが得をしている状況ですが、総務省が特典のエスカレートぶりに苦言を呈しているので、利用するなら今のうちでしょうか。熊本への災害支援名目でも、ふるさと納税が可能です」(前出の藤原氏)

 メロン王国の熊本ならではの『くまもとのメロン(アールスメロン/1~2玉入り)』も1万円の寄附で可能だが、5月末まで申し込み限定で、すでに品切れ状態。地方自治体は、寄附で集まる金額に対して、子育てや医療・福祉、防災対策など、その使い道を公表している。総務省によると、ふるさと納税は2014年度実績(47都道府県合計)で、適用者は約44万人、寄附金額はおよそ341億円だ。

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