●政治や世界情勢が大きく影響する 世界との架け橋「航空編」

 現在、世界中で繰り広げられている“航空戦争”。第3世界の発展や、LCC(格安航空会社)の躍進によって航空便の利用者が急増し、各国がその“獲得”に血眼になっているのだ。東アジアでも、仁川や香港、上海、シンガポールなどがハブ空港化(地域の拠点空港)を目論んで利便性を図るなどしているが、それに完全に乗り遅れているのが日本なのだ。

「日本の玄関口は成田と羽田ですが、成田は都心や日本の代表的観光地にアクセスが悪く、また、国内線が貧弱であることから、ハブ空港になりきれませんでした。一方の羽田は、発着能力が限界に達し、国際線の本数が限定的。両空港とも“帯に短し、たすきに長し”なんです」(経済誌記者)

 さらに、「日本は長年、JAL=国際線、ANA=国内線と棲み分けをしていましたが、2010年にJALが破綻したことによって日系航空会社の国際線網が一気に減少したことも影響しています」(前同) JALがかつて就航していながら現在、日系の両航空会社で就航していないのは、カイロ、ローマ、チューリッヒ、バルセロナ、マドリードなど30都市以上。その結果、羽田・成田から結ばれている世界の都市は92。シンガポールの148、ソウルと香港の137と比べるとその差は歴然だ。

 まさに、日本が世界の航空業界で埋没しかねない「危機的状況」(同)なのだが、それを解決するための秘策がいくつかあるという。一つは、2020年に導入される都心の低空飛行。騒音問題を理由に反対する声もあるが、たったこれだけで、羽田の国際線発着回数を65%増にできるのだ。

「他にも、羽田空港のE滑走路の設置や第三首都空港建設は解決の有効的な手段なんですが、環境対策や用地問題、建設費用など課題は相当多いんです」(同) そんな障壁が一切なく、問題を解決する方法が実はある。

 話すのは、自民党の中堅議員だ。「東京上空を占拠する米軍の横田空域を返還してもらえばいい。日本の領空にもかかわらず、第二次大戦以降、我が物顔で米軍が管理しているなんてありえない。羽田発着の旅客便は、この影響をもろに受けているだけに、空域返還による発着回数の増加は、空港を一つ建設するほどに飛躍させることも可能だ」 建設するだけが交通インフラではないのだ。

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