日本全国「巨大地震」“要警戒エリア”をリサーチ!の画像
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 茨城、千葉両県を中心に関東地方で地震が頻発。そこには東日本大震災、熊本地震の“伝播現象”があった――。「今年4月16日未明に最大震度7(M7.3)を記録した熊本地震のエネルギーは、いまだ完全に燃え尽きていません。これが意味するところは、日本最大の断層である中央構造線の西端地域で発生した先の地震が、“東に伝播している可能性がある“ということです」(武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏)

 地震発生のメカニズムに詳しい島村氏によれば、列島を東西に横断する中央構造線と、その周辺に点在する無数の活断層を通じて熊本、大分両県に甚大な被害をもたらした地震のエネルギーが、現在“東進している“というのだ。熊本では6月29日に震度4以上の揺れを観測したほか、震度1以上の小さな地震は現在も頻繁に発生している。気象庁担当記者も、こう警鐘を鳴らす。

「政府も熊本地震の“東進“に警戒を強めていますが、それは、これを裏づける証拠があるからです。今年に入って深度5弱以上の揺れを観測した大きな地震は、熊本、大分を除くと、青森県三八上北地方(1月11日)、神奈川県浦賀沖(1月14日)、茨城県南部(5月16日)、北海道内浦湾(6月16日)、茨城県北部(7月27日)と、東日本に集中しています」 直近のデータは、さらに不気味なものだ。

「熊本、大分を除き、6月1日から7月31日までの2か月間に震度2以上の地震が多く発生した地域を眺めてみると、茨城県で19回(茨城沖含む)、千葉県で11回(千葉沖含む)、伊豆諸島、駿河湾でも11回となっており、東日本、それも関東地方に集中しているんです。うち、茨城では4回も震度4以上の地震が発生し、千葉でも1回発生しています」(前同)

 中央構造線に沿った熊本、大分の地震エネルギーの伝播は、明白のようだ。「こうした現象は珍しいものではありません。過去、トルコでも同様の現象が確認されており、同地の中央構造線にあたる巨大な断層に沿って、一つの巨大な地震の余波が以後60年をかけて伝播し、各地で内陸型の地震が連動して発生しています」(前出の島村氏)

 現在、関東地方で頻発する地震のうち、その数が特に多いのが茨城県を震源とするものだが、同県の南部は地震大国・日本の中でも特に地震が多い地域として知られている。「“地震の巣“という言い方をされることもありますが、ここ100年間はさほど大きな活動はありませんでした。ただ、最近になって活動期に入った感があります。これは、2011年に発生した東日本大震災によって、同地域の地下の岩盤の動きが活発化したためです」(前同)

 今後、我が国で発生する地震の傾向を予測するためには、熊本地震のみならず、東日本大震災の影響も考慮しなければならないのだ。「東日本大震災は、岩手県の三陸沖の海底24キロを震源とする海溝型地震です。日本列島は大別すると4枚のプレートという大きな岩盤の板の上に乗っている状態ですが、東日本大震災は、そのうち海と陸の2枚のプレート(『太平洋プレート』=海と『北米プレート』=陸)が干渉し合った、ひずみのエネルギーで発生した“プレート境界型地震“と呼ばれるものです」(地震ジャーナリストの田所修氏)

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