“尖閣侵犯”中国の挑発「本当の理由」とはの画像
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 五輪に浮かれる日本を尻目に、着々とアジア支配の準備を進める隣国。その不気味な動きはすぐそこまで!

 8月24日、日本では5年ぶりとなる日中韓外相会談が開催された。「その日の朝、北朝鮮が潜水艦発射型の弾道ミサイルを発射。自民党の二階俊博幹事長は、中国の王毅外相に態度の協調を要請しました」(全国紙政治部記者)

 王外相は共同記者会見の席上、「朝鮮半島情勢の緊張を引き起こす、いかなる言動にも反対する」と述べ、対北朝鮮問題で3国が連携することを改めて確認。しかし「これはポーズにすぎない」(前出の記者)というのが大方の関係者の見方だ。

「9月初旬に江省杭州で主催するG20首脳会議の成功が習近平政権にとっての最優先課題ですから、限定的に強硬姿勢を封印しているだけでしょう」(前同)

 事実、その裏で中国の挑発行為は増える一方。「今年4~6月、日本の領空に入る恐れがある中国軍機に対し、航空自衛隊が緊急発進した回数は、昨年同期に比べ、80回以上も増えたことが防衛省により公表されています。それだけ、尖閣諸島周辺まで中国機が南下するケースが増えているわけです」(同)

 6月9日には中国の軍艦が尖閣の日本領海との接続水域に侵入。さらに8月5日から8日にかけて、同水域に中国海警局の公船が侵入し、8日には過去最多の15隻を数えた。

「2008年頃から中国側は尖閣周辺で嫌がらせを行っていますが、今回同行した漁船の数は約230隻という多さ。公船による、これほどの回数の領海侵犯は前代未聞。漁船には100人以上の軍事訓練を受けた民兵が乗り込んでいるとの見方もあり、嫌がらせの域を超えています」(外信部記者)

 はたして、中国の本当の目的とは――。「“8月5日”という日付に意味がある」と言うのは際アナリストで、『日中開戦尖閣戦争勃発す』(オークス出版)の著書もある井野誠一氏。

「8月5日といえば、米国オバマ大統領が広島を訪問して以降、初めて巡ってくる原爆投下日の前日。オバマ訪問で日本が被爆国ということが世界にアピールされましたが、中国にしてみれば、アジアを侵略した日本の戦争責任が忘れられるという懸念があるのです」

 さらに、南シナ海問題でフィリピン、ベトナムなどと連携して中国にモノを申す安倍政権への不満もある。「同問題については、7月12日に国際仲裁裁判所が、中国側の領有権主張を却下する判決を下しました。それを受け、安倍政権が強硬な姿勢を示すだろうと読む、中国側の警戒もあります。そのうえ、“南京大虐殺はなかった”“日本は核武装も必要”などと発言するタカ派の稲田朋美氏が8月3日に防衛相に就任したため、その出方を探る狙いもったと思います」(前同)

 もっとも、これらの指摘に止まるなら、この間の中国の“尖閣侵犯”は、あくまで示威行為とも言える。だが、国際問題評論家の小関哲哉氏はこう見る。

「中国は、国が栄えれば領土も拡大すべきという考え。むろん、これは軍事的側面もあります。そして今、いよいよ“第一列島線”の確立を目指し、南シナ海、さらには尖閣も含む東シナ海に触手を伸ばしています」

 小関氏によれば、仮想敵国を米国とした中国は、制海権確保のため、台湾、フィリピン、インドネシア、さらには沖縄の日本領海にまで及ぶ地域を“第一列島線”と呼び、これを戦力展開の目標ラインとしているという。

「対外的にこそオープンになっていませんが、これは中国人民解放軍内部の国防方針。そこには実現時期として、15年を目処としています。08年頃、こうした原文が流出し、日本政府も把握済みです」(日本政府筋)

 これが事実なら、尖閣支配は中国側にとって急務。「中国軍内に存在するシミュレーションの多くは、すでに尖閣諸島周辺および、上空に軍船や航空機が往来することを前提に想定されています。尖閣をいずれ完全に勢力圏に組み入れたいと目論んでいることは間違いありません」(井野氏)

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