秋競馬が始まる。開幕阪神のメインはG1スプリンターズSの前哨戦、セントウルSだ。注目は春の高松宮記念を制したビッグアーサーの出走。スプリントG1連覇を狙ってここから始動する。

 父サクラバクシンオーは歴史に名を残す偉大なスプリンターだが、競走生活は4~6歳(年齢表記は当時)の3年間。体質が弱く、脚部不安もかかえ、初G1は5歳暮れのスプリンターズS。完全に本格化したのは6歳時だった。

 とりわけ秋シーズンは凄かった。7FのスワンSで1分20秒の壁を破り、引退レースのスプリンターズSを4馬身差で連覇。勝ち時計1分7秒1はまたしても日本レコードだった。圧倒的なスピードには化け物じみた印象まで与えた。

 父のイメージが重なってくるのがビッグアーサーだ。3歳の4月にデビュー。2戦目は翌年の2月と軌道に乗れなかったが、それでも4歳時は北九州記念で2着に敗れるまで5連勝を達成。

 その後、重賞で結果が出なかったが、5歳の今年は高松宮記念で初重賞VがG1の快挙。勝ち時計は1分6秒7のレコード。圧倒的な勝ち内容にビッグアーサー時代の到来を予感させた。

 化け物じみた印象は8月25日の坂路だ。レース2週前追い切りで4F51秒0-36秒0-23秒8-12秒4をマーク。4F時計は一杯に追った高松宮記念の当週と同じで、それを馬なりで楽々と上がってきた。上がりの2F~1Fのラップは驚異の11秒4だ。

 馬体は春よりもボリューム感にあふれ迫力たっぷり。少し立派にも見えるが、前哨戦の体としては許容範囲。いきなり動ける気性でもあり、好発進が期待できる。

 ライバル一番手はエイシンブルズアイだ。休養前のCBC賞は1番人気を裏切る9着。見せ場すら作れなかった。3か月ぶりの実戦で緩みもある馬体。覇気にも欠けていたのが最大の敗因だろう。

 同じ轍は踏むまいと今回は仕上げに熱を込めた。初時計が7月31日と乗り出しが早く、レース2週前時点ですでに7本もの時計をマーク。前走時は坂路のみの調整だったが、8月24日にはCWコースでも追い切った。6F83秒2-3F37秒5の鋭い動きで、前走時との反応の違いまで見せつけた。本来は鉄砲も利くタイプ。今回は怖い。

 ダンスディレクターもこのレースから復帰する。スプリント戦ではまだ底を見せていない馬。今年1月のシルクロードSで初重賞勝ちを飾った。丹念に乗り込み調整も順調。十分な警戒が必要である。(日刊ゲンダイ大阪記者)

本日の新着記事を読む