当然「少し汗ばむ」というのは気温を考慮に入れなければの話だが、夏でも朝の涼しい時間帯に行えば、適度な発汗で切り上げることは可能だ。歩数に関しても、適度でよいのだという。

「専門的には“中強度”といいますが、早歩きなら1日1万歩で十分でしょう。以前、東京都健康長寿医療センター研究所が、群馬県中之条町の65歳以上の高齢者5000人を対象に13年間調査したところ、7.5分以上/5000歩で認知症・脳卒中などの予防、30分以上/1万歩でメタボ予防につながるというデータが出ているんですよ」(前出の専門誌記者)

 また、それくらいのペースで歩くとなると、全身を効率的に動かすことも大事になってくる。まずは腕の振りを、まっすぐ大きくするのが基本だが、もう一つ、意識すべきポイントがあるのだ。

「競歩の選手たちのフォームを見ていると、腰を左右に大きく動かしながら歩いていますよね。あれは速く歩くためのテクニックなのですが、気になるお腹周りのたるみを減らすのにも“腰をひねる”運動は効果的ですから、あの独特のフォームを少し意識するといいでしょう。“前に出す手と足は逆”というのがウォーキングの動きですが、その足を腰から動かすイメージで歩くと、きれいに腰がひねれます」(フィットネス誌編集者)

 それを意識的に行うことで背筋も伸び、ひいては上体の筋肉が鍛えられることになる。また、脳への血行もよくなり、認知症予防の効果も見込めるというのだから、これはうれしい副産物だ。それにしても、それなりの運動量をキープしつつ、心拍数も上限を超えないようにするというのは、なかなか難しい注文のようにも思えるが……。

「最初は細かく心拍を測りつつ、“自分はどれほどの運動をすれば、どの程度の心拍数になるのか”をきちんと把握しながら、少しずつ歩くのがオススメです。今は簡単に装着できるタイプの心拍計や、心拍数を測定するスマホアプリなどもありますから、そういったものを活用するといいでしょう」(前同)

「千里の道も一歩から」と言うように、いきなり手っ取り早い効果を求めるのではなく、できることからやっていくほうが、結局、長続きするのだ。

 そういう意味では、まずは気分からということで“シューズを新調する”というのも一つの手だと、前出の岡田氏は言う。「クッション性の優れた靴で足腰を守るという効果のほか、“せっかく買ったんだから”というモチベーションを高めることにもつながりますからね」

 三日坊主の我ら中高年も、4年後の東京五輪まで健康に暮らせるように、まずは“一歩から”踏み出してみようではないか。

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