今年の広島を語るうえで外せないのが、2人のベテランの存在。それが新井と黒田博樹(41)だ。新井の活躍は前述の通りだが、黒田も負けてはいない。22試合を投げ、8勝(8敗)、91奪三振、完投1。防御率は3.12。そして、数字には表れない、チームの精神的支柱として果たした功績を考えると、彼もまた“優勝のキーマン”だったことは間違いないだろう。

 実は、新井が古巣・広島に呼び戻されたのは、黒田の広島復帰と大いに関係しているという。「黒田がメジャーから戻って来る際、球団が考えたのは、あまりにも偉大な存在になりすぎた黒田をチームの中で孤立させてはいけないということ。気心の知れた新井を、黒田と若手の“橋渡し役”にする意味合いもあったといいます」(スポーツ紙デスク)

 しばらく日本から離れていた黒田に、新井は他球団の若手たちの情報を提供。「新井もまた、他球団からの出戻りという、ある種の気まずさを、黒田の話し相手になることで払拭していったのではないでしょうか」(ベテラン記者) 黒田と新井は投手と野手という、それぞれの立場から、ベテランの存在感を見せつけ、結果的に2人が優勝を牽引する形となった。

 しかし一方で、優勝という目標を達成してしまった瞬間、「これを機に黒田が引退してしまうのではないか?」という噂も流れるようになってきた。「今年、日米通算200勝を達成し、古巣の25年ぶりの優勝にも貢献できた。これを花道に“引退”の道を選ぶのは、ごく自然の流れです」(スポーツ紙デスク)

 今こそが引退を決断するベストタイミング黒田が、そのように考えても少しも不自然ではない。だが、黒田はまだまだ終わった選手ではない。「引退は他人が決めることではありません。黒田自身が“まだやれる”と思えば、まだまだ現役続行できる体力も筋力も持ち合わせています。気力さえあれば問題ないはずです。盟友・新井は今年の活躍で、現役続行が確実といわれています。新井の活躍を見て、俺もまだまだやれると、黒田が刺激を受けた可能性もあります」(前同)

 体が動かないというなら別だが、黒田は違う。もう少し、マウンドでの勇姿を見続けていたい!

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