「とかく当たり外れが大きいといわれがちな外国人選手ですが、広島の場合、毎年のように“当たり”を引き当てているわけで、これは偶然ではありません」(スポーツ紙デスク)

 今年も広島は外国人選手が大当たり。ジョンソン、ジャクソン、ヘーゲンズの投手陣も、エルドレッド(36)、ルナ(36)の打撃陣も、各々が持ち味を発揮し、勝利に大きく貢献している。これは、何も今に始まったことではない。ここ数年を見ても、投手ではルイス、ミコライオ、サファテ、野手ではラロッカ、ロペス、ディアスなど、広島にやってくる外国人選手には毎年、ハズレがない。

 これには、多くの優秀な投手を広島に送り込んできた駐米スカウトのシュールストロム氏の力が大きく影響しているといわれる。今年活躍した助っ人外国人勢を連れてきたのも、彼の「仕事」だ。「シュールストロムさんは選手の実績や数字だけでなく、性格や練習態度などから日本向きかどうかを判断したうえで、選手を送り込んでくる。だからハズレがないんです」(前同)

 もともと、日本野球を甘く見ているような選手は、広島に送り込まれてこない。やってくるのは、真面目な選手ばかりなのだ。「今年のエルドレッドを見てください。14年の本塁打王ですよ。それなのに、継投重視策によって外国人枠4人のうち3人が常に一軍にいた関係で、ルナと交代でファーム行きを命じられたり、新井や鈴木が好調だったことから6番を打たされたり。不慣れなレフトを守らされることも多かった。それでも腐らず、3割近い打率をキープし、19本のホームランを打って、チームに貢献するのだから、見上げたものです」(同)

 一方、球団のほうでも、そうして獲得した外国人選手を「特別扱い」したりすることはないという。「キャンプから若手と同じように走らせるし、夜間練習の素振りも強制的に参加させる。それでも、彼らは文句を言わずに、厳しい練習についていく」(同) もともと、日本野球に合いそうな選手たちが、さらに真面目に研鑽を積んでいく。彼らの活躍は、当然過ぎるほど当然の話だ。

「外国人を特別扱いしないということは、差別しないということでもあります。当然、日本人も外国人も含めたチームとしての一体感が生まれるわけです」(スポーツ紙デスク) ちなみに広島の外国人で、初年度の年俸が1億円を超える選手は、まずいない。彼らもまた、“非エリート組”なのだ。広島のチーム環境は、ドラフト下位指名の若手だけでなく、外国人選手の雑草魂にも火をつけているのだ。

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