昨15年度のNHKの決算によると、事業収入は6868億円。民放キー局トップの日本テレビ放送網の売上高3070億7700万円、最低のテレビ東京の1073億9600万円と比較して、いかに巨額であるかが分かるというものだろう。この事業収入のうち、受信料は6625億円と96%以上を占めている。受信料は前年度と比べ、実に131億円もの増収となった。

「収入が増えたのは個人の受信料ではありません。ホテルチェーンなどと一室ごとに受信契約を結ぶようにしたせいです。昨年末に、一室ごとに支払え、というNHKの訴えを認める判決が出た影響でしょう。こうして外部から対峙していると、NHKは拝金主義へと舵を切った、という印象が強いです。私がいた当時は、内部の問題はあったものの、公共放送という意識や現場の空気は感じ取れました。それも現在では薄れています」

 13年からNHKのトップとして君臨する籾井勝人会長への風当たりも強い。15年には自宅とゴルフ場を往復したハイヤー代約5万円をNHKに請求させた問題が浮上し、今年2月には、国会で相次ぐ不祥事について「心からおわびする」と陳謝した。しかし、立花氏は籾井会長を、こう評価する。

「NHKの若手職員には、評判は悪くないんです。会長は三井物産出身で日本ユニシスから来た、NHKの既得権益に染まっていない“正義の人”“真っ白な人”ですから。問題のハイヤー代も、自分で払う気まんまんだったのに、秘書が気を利かせ、付け回しにした。こうしたことをソツなくこなすことが優秀だという、NHKの体質が根底にあると思いますね。籾井会長は来年1月に任期の3年を迎えます。本人はやりたいでしょうが、再任は厳しいと思います。世間のイメージは決してよくないし、続投は安倍政権にとって失点になりかねませんから。ただ、私としては、あの世代なら誰が会長になってもスタンスは一緒。凝り固まった考えが手に取るように分かりますから。ホリエモンのような世代の人物が来ると、戦術を変える必要もありますけどね(笑)」

 立花氏はさらに、NHKのためとして、以下の提言を続ける。「本当に改革・改善を行うなら、経営委員会にどんどん若手を入れるべき。旧態依然の発想では、今後、NHK離れは必至です。NHKがこの先も存続するためには、私を会長にすべきですよ。私は心構えも計画も持ち合わせていますから。改善のため意見を求められることや、場合によって局内での立場を与えられることがあれば、喜んで受けますよ」

 立花氏が最も危惧するのは、NHKと視聴者との距離だ。「みなさまのNHK、というスローガンがありましたが、現在やっていることは、まったく逆の営利活動。受信料にしても、支払っていない人の所だけ回っている。本来なら、支払っている人の意見こそ直接聞くべきではないでしょうか。私はNHKが好きだからこそ、まっとうな組織に戻ってほしい。これからも生き残っていける経営改善が必要だと思い、外部から活動しているんです」

 危機に瀕したNHKは、この声をどう聞くのか。今後を見守りたい。

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