巻き返し態勢を築き上げたジュエラーを主役に指名する。トライアルのローズSは11着。本番が不安になる着順だったが、敗因はやっぱり仕上げ面だ。骨折明けの病み上がりで、初時計がライバルのシンハライトより1週遅く、調教内容も春ほどには攻め込めていなかった。4角6番手から直線で伸びを欠いたのは、中身ができていなかった証拠でもある。

 今回は違う。レース11日後に早くも坂路で55秒0の初時計。その3日後にも57秒7。さらに1週前追い切りの10月5日には併走で54秒8。時計のかかる時間帯でもラスト12秒台でまとめてきた。馬体面もいい。ローズSの下見所では体が立派で、変にテンションも上がっていたが、今回は体ができてきたのだろう。締まって張りが出るとともに、落ち着きも出ている。前走では、前目につけるレースをしたMデムーロ。明らかに本番を意識した競馬内容で、コース面でも激変する要素は大である。

 残念なのはローズSを差し切ったシンハライトの回避。TR激走のダメージが抜けなかったのだろうか。これほど勝負強い牝馬もまれで、復活の時を待ちたい。

 相手本線はビッシュだ。今年からGⅢに格上げされた紫苑Sが強い競馬だった。大外18番スタートで、道中も外を回らされる不利な形。それを後方から3~4角で上昇して4角2番手。直線は、おいでおいでの圧勝だった。春のひ弱さを感じさせない馬体にも好感を覚えるし、ジュエラーのライバル一番手になる。

 ▲は同じ紫苑S組からヴィブロス。ビッシュには2馬身半離されたが、3角でのロスがこたえていたフシがある。3着馬には3馬身半の大きな差をつけており、夏前からの上昇ぶりは本物だ。★はコースが合いそうなダイワドレッサー。△にカイザーバル、エンジェルフェイス、クロコスミアまで押さえる。(日刊ゲンダイ大阪記者)

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