安倍政権「衆議院1月解散で自民党大圧勝」のシナリオの画像
安倍政権「衆議院1月解散で自民党大圧勝」のシナリオの画像

 総裁任期延長に憲法改正。ライバル不在の今こそ好機とばかりに勝負をかける与党。その先に待つのは……。

 永田町が揺れている。「自民党が来年1月の党大会開催を3月に延期するや、民進党の野田佳彦幹事長も、規約で1月に招集することになっている定期党大会をずらし、3月に開くと地方の幹部らに伝えました。与野党ともに、すでに臨戦態勢ということです」(全国紙政治部ベテラン記者)

 来年年明け早々に国会を解散し、2月に総選挙を行う“1月解散”気運が沸騰。これから師走にかけて、永田町は、まさに“センセイ”たちが東へ西へ“走る”時期に突入するのだ。巷間、降って湧いた解散説の理由はというと、「安倍晋三首相は、12月に来日するロシアのプーチン大統領から北方領土返還の言質を取り、それを弾みに、直後の衆院選で大勝利を目指すのでしょう」(前同)

 しかし、事はそう単純ではない。自民党の中堅議員が、こう語る。「衆参合わせ、改憲発議に必要な3分の2の議席を確保しているにもかかわらず、わざわざリスクを冒す必要はありませんよ。かたや、ロシアは北方4島の日本帰属を交渉の条件にしておらず、歯舞と色丹を“日本にプレゼントする”というスタンス。2島が返還されても、当然、“弱腰外交”の批判は残ります。それで解散して本当に大丈夫なのか」

 このように、自民党内には少なからず1月解散を危惧する声があるものの、「選挙の風が吹いているか吹いてないかといわれたら、もう吹き始めている。これだけ風が吹いて、(選挙の)準備に取りかからない人がいたら論外だ」と、自民党の二階俊博幹事長自らが、派閥所属議員の会合でハッパをかけたことからも、解散は既定路線であることが分かる。さらに菅義偉官房長官も、「(解散は)首相がやるといえばやる。首相自身が一番タイミングのいいときに考えられる」と発言するのだ

「来年5月以降、衆院選小選挙区の定数は“0増6減”となり、それに伴う区割り変更があります。最高裁は“一票の格差”の観点から現行の区割りは違憲状態と判断しましたが、それを無視してでも、安倍自民としては区割り変更前のタイミングで選挙をしたいということです」(前出の記者)

官邸筋は、「そこには、練りに練った安倍首相の計算が見え隠れしている」と言うが、はたして、どんな秘策を用意しているのか。政治評論家の有馬晴海氏は、こう語る。「政権与党にとって、選挙(衆院選)は勝てるときに実施するのが原則。まずは、安倍政権の生命線であるアベノミクスが完全に失速する前に、選挙を実施しておく必要があるんですよ」

 実は、麻生太郎首相(現・財務相)時代に、自公政権は手痛い失敗を犯しており、特に公明党には、その危機感が強い。「当時、公明党は麻生氏に再三、早期解散を求めていたんです。結局、1年後に“追い込まれ解散”となり、北側一雄幹事長(当時)ら8選挙区の前職全員が落選。いまだに党内では、その悪夢がトラウマになっているんです」(公明党関係者) 1月解散の発信源が公明党だといわれるのは、このためだ。

「創価学会票が母体の公明党として気になるのが、来夏の東京都議選。しかし、1月解散・2月総選挙なら都議選までに半年の余裕があります。逆に都議選後で半年の余裕を見た場合、解散は来年の年末以降となり、衆院議員の任期が1年を切って、“追い込まれ解散”の悪夢が蘇ることになります。安倍首相には、創価学会票をフルに動員できるうちにという思惑もあるんでしょう」(前出の記者)

 おまけに、安倍自民の最大のライバルとなる民進党が分裂含みの体たらく。10月23日投開票の衆院補選(東京10区・福岡6区)で野党統一候補を擁立する民進党は、次期の総選挙でも野党候補一本化へ動き出しているが。「民進党は蓮舫新代表の二重国籍問題で支持率が伸びず、一方では野田佳彦幹事長起用という人事問題で党内の反発が高まっています」(前出の有馬氏)

 そもそも、野田氏は首相時代、総選挙で大敗し、安倍自民に政権を奪われた張本人。「蓮舫氏を支持したグループも、野田氏の起用に猛反発し、離党の動きさえ見せています」(前出の記者) かといって、蓮舫代表自身に、この窮地を切り抜ける力はなさそうだ。

「新代表が誕生した当夜、蓮舫氏がNHKの『ニュースウオッチ9』に登場するや、視聴率は5%も下落。やはり、二重国籍問題が影響したんでしょう。マスメディアを利用してきた蓮舫氏の“終わり”を告げる出来事として、業界では注目されています」(テレビ業界関係者)

  1. 1
  2. 2
  3. 3