油を注げば、火は燃え盛る。対する小池氏は、「なぜ、日本が勝ち取った東京五輪の会場が韓国!? 国益を犠牲にしても、森さんは私を潰したいのか!?」「なぜ、よりによってリーク先が慰安婦問題大誤報の朝日なの!?」と怒り心頭だという。

 森氏の“火炎瓶”投下はさらに続く。10月20日、東日本大震災、熊本地震の被災地を回る“聖火リレープラン”をブチ撒けた。「小池さんは、競技会場を東京から東北へ変更することなどで“復興五輪”として盛り上げようとしていますが、それに対抗してのことでしょう。森氏は、会場を変更する意思はないので、聖火リレーで収めたい。となると、IOCの内規での“聖火リレーは上限100日、ルートは一筆書き”に収まらない可能性もあるが、森氏は緩和をIOCに要請済みだというんです」(前出の政治部記者)

 バッチリの根回しに対し、バッハ会長は検討の姿勢を見せ、「森氏から圧力をかけられた」とジョークで応酬。「ミスターヨシロウ(森会長)は、私の弟と呼んだほうがいいかもしれない」と、蜜月ぶりをアピールしたのだった。

「さらに、バッハ会長は、安倍晋三首相との会談の中で、“被災地(福島)でイベントをやりたい。日本で非常に人気の高い野球も選択肢の1つ”と、森氏の“小池劇場封じ込め”に、露骨に加担するプランまで口にしています」(前同)

 結局、バッハ会長の来日の目的は、「“調整”というより森会長へ“肩入れ”」(同)だったのだ。五輪組織委関係者が言う。「バッハ会長の裏で動く“軍師”は、IOC副会長のジョン・コーツ氏。かつてはボートの選手で、国際ボート連盟の評議委員も務めた“ボート界のドン”です。バッハ会長はお飾りで、コーツ氏が操る“傀儡政権”という話もある。小池都知事は、それほどの実力者を相手にしなければならないんです」

 援軍を得た森氏は勢いづき、攻勢を強めるばかりだが、元をたどれば、小池氏は森氏の派閥「清和政策研究会」に所属していた“直属の部下”だった。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。

「小池さんは、政治家としてのキャリアを日本新党からスタート。その後、新進党、自由党、自民党と渡り歩いてきたため、“政界渡り鳥”と揶揄する向きもあります。森さんにすれば、そんな小池さんを“うちの派閥で拾ってやった”との思いがある。ところが、2008年の自民党総裁選で、森氏が麻生太郎氏を推していた折、調整を気にすることなく、小池氏は自ら出馬。森氏は激怒し、以降、小池さんを冷遇し続けました」

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