「失笑」は、ぜんぜん失笑じゃない!? 言葉の意味、間違って使っていませんか?の画像
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 日本語には数多くの言葉があり、時代とともに変化しています。文章として書く言葉と口語にも差異があります。ふだん使っている言葉には、間違った意味合いで使われているものも多いのはご存じですか。ここでは、私たちが間違った意味で使っていることが多い言葉を紹介したいと思います。

 最初に紹介する言葉は「割愛」です。これは「愛しいもの、惜しいと思うものを思い切って捨てたり手放したりすること」が正しい意味で、「重要でないから省く」という意味ではありません。ところが、文化庁の2011年「国語に関する世論調査」によると、後者の意味で使っている人が全体の65.1%、正しく使っている人は17.6%という結果でした。

 次に、「敷居が高い」という言葉もよく使われますが、行ったことのないお店、特に高級そうだったり、上品そうなお店を見て、「ここは敷居が高そう」と言ったりしていませんか。この言葉は本来、「義理を欠くことや迷惑をかけるようなことがあって行きにくい」という意味です。正しい意味を知っている人の前で前者のように使うと、“この店で迷惑をかけるようなことをしたのかな”と誤解されるかもしれませんよ。

 続いては、「姑息」です。“姑息な手段”といえば、ひきょうな手段のことだと思っていませんか。もともと「姑息」とは、「姑(しばらく)」「息(休息)」で、本来の意味は、「一時の間に合わせ」という意味です。だから、姑息な手段とは、一時しのぎの手段という意味なのです。

「役不足」という言葉も誤解されているかもしれません。テレビを見ていてもよく使われますが、本来「本人の力量に対して与えられた役目が軽すぎる」という意味ですが、ドラマの配役を評して「この俳優では役不足だ」と、個人の力量に対し荷が重いような使われ方をしていることが多いようです。

 最後に紹介するのは、「失笑」です。メールやメッセージのやり取りでつまらないギャグを言われ、あきれたときなどに「失笑」と返していませんか。でも本当の意味は「こらえきれず吹き出して笑う」という意味です。つまらないギャグなのに、失笑しましたと返してしまうと、相手が喜んでしまうかも!? 役不足も失笑も、まったく反対の意味で使われていることが多いようですね。

 他にも知らず知らずのうちに間違って使っている言葉はたくさんありそうですが、字数の関係で泣く泣く「割愛」しました。ふだん使っている言葉の意味を見直してみると、大人としてワンランクアップ、できちゃうかもしれませんよ!

長谷川正和
86年、神奈川県生まれ。男性のハンドモデルとしてコマーシャルから広告、再現VTR等に出演。物心ついた頃からお腹が弱いため、身体の「中身」のスキンケアも徹底している。

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