仮設施設とは別に、選手村の整備費もかかる。小池チームの報告書では建設費945億円とされたが、こちらは民間のゼネコン連合が負担することが、猪瀬直樹元都知事の時代に決まっている。だが、用地の取得費用(221億円)や上下水道の整備、防潮堤の建設(410億円)など、都もすでに600億円以上を投入しているのだ。この選手村、終了後には高層マンション化して売却される予定なのだが……。

「実は、都が整備した土地をゼネコンに払い下げる価格がたった129億円と、明らかに不自然な安さ。一等地なのに、坪単価は伊豆諸島並みなんです。税金を投入して作った土地を赤字覚悟で投げ売りされたんじゃ、たまったもんじゃないですよ」(社会部記者)

 ここまで見てきただけでも、ハコモノ行政や業者との癒着の見本市といった趣。しかし、ここからさらにドンブリ具合を発揮するのが、我らが東京五輪だ。左の表中で「その他諸経費」とされているものは、たとえば要人警護やテロ対策、セキュリティなどの運営費。これが調査チームの試算では、なんと1兆6000億円にも上るという。

 ロンドン五輪での事例などを考えて、このように算出されたようだが、唖然とするのは、招致時に国民に発表した当初予算に、そもそも、この経費の多くが含まれていなかったことだ。「組織委の関係者は、“IOCの規定に合わせ、数字を出した”と説明しています。招致までは施設整備費だけを予算として申請すればいいので、それは分かりますが、それとは別に“総経費は、これだけ”と、きちんと国民にアナウンスしなければ、今さら言われても同意など得られるはずがありません」(前出の鈴木氏)

 招致反対の声が上がることを予想して、あえて、この数字を隠したのでは……と邪推もしたくなる話だ。「組織委が“開催ありき”で突っ走ったがゆえの事態です。必要経費はある程度仕方ないのだから、じっくり説明するべき。それをしないから、よけい利権ずくに見えるんですよ」(社会部記者)

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