現場の雰囲気っていうのは、画にも大きく影響しますよ。特に舞台は、毎日顔を合わせるわけですからね。“調子どう”とか“風邪ひいてない?”って何気ない会話をすることは大事だなと思います。

 今回の映画『オケ老人!』でも、ちょうど撮影の時期、医者から血糖値が高いとか言われていたんですよ。プロデューサーの方が何気なく言ったその話を覚えてくれていたんでしょうね。私だけ野菜中心のお弁当を用意してくれて、お陰様で血糖値もボーンッと下がりましたよ。

 そういう細やかな心遣いをひしひしと感じられる現場で、雰囲気も和気あいあいとしていて、とても楽しかった。現場が楽しいと、出来上がってくる作品も全然違いますからね。『オケ老人!』は、年寄りだらけのオーケストラ楽団が、音楽に真剣に取り組む姿を描いた作品なんですが、画面越しにも現場の空気感が伝わると思いますよ。

 役者の仕事もしますが、私はコメディアンでありたいなと思っています。いまは芸人さんなんて呼ばれ方をしていますが、それとは違う。コメディアンは、歌や踊り、日本舞踊などすべて演じれる人のことを言うんです。そういう意味で、私はまだコメディアンに到達していないんです。きっと、死ぬまで登り続けなくてはいけないんだと思います。

 これからも、体が動かなくなるまで、コメディアンとして走り回ろうって思っていますよ。

撮影/弦巻 勝

小松政夫 こまつ・まさお
 1942年1月10日、福岡県生まれ。A型。植木等の付き人兼運転手として芸能界入り。『シャボン玉ホリデー』でデビュー。淀川長治のものまねなどで一躍脚光を浴びる。その後、数々の舞台、テレビ番組で活躍。90年代以降は、俳優としての才能も発揮。11年には社団法人『日本喜劇人協会』10代目会長に選出される。現在も舞台、映画、ドラマなどで勢力的に活躍中。また36年ぶりのシングル「親父の名字で生きてます」が発売中。出演する映画『オケ老人!』は、11月11日より全国ロードショー。

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