今年、30歳を迎えた豪栄道は、「男に多言は無用」とばかり、言葉を選んで取材に答えるタイプだ。一方で、大関取りを目指していた平成26年初めには「今年中に大関になります」と宣言。その年の秋場所後、見事、大関昇進を決めた彼が述べた口上は、「これからも大和魂を貫いてまいります」という、一風変わったものだった。

――改めて伺いますが、大関が考える“大和魂”とは、どのようなものなんでしょうか?

豪 本来の“大和魂”にはいろいろな意味があるんでしょうけれど、自分的には、痩せガマンも含めたガマン強さのことなんじゃないかと思うんですよ。力士は勝ち負けのハッキリした、勝負の世界に生きています。原因がどうであれ、負けたのなら、負けを負けとして、その現実を受け止める。男らしく、潔くいきたいと思うんですね。そういう道を歩もうと思えば、ガマンするしかない。

――“男はガマン”ということですね。実際、現役の横綱、大関陣からも、「豪栄道は男気がある」と言われていますよね。本場所の土俵では極力テーピングを控えるなど、土俵の美を体現しています。

豪 痩せガマンしてるだけなんですけど、そう言われると、ちょっとうれしいですね(笑)。(26年の)「大関昇進宣言」も、実は自分自身にプレッシャーをかけるための言葉だったんですよ。「やらなきゃ」という気持ちを高めるため、目標は口に出して言うほうがいいと思うんですよ。

――そんな男気あふれる大関ですが、なぜか女性の噂が聞こえてきませんね?

豪 アハハ……(笑)。そうなんですよ。

――笑っている場合じゃ、ないですよ。具体的には、どういうタイプの女性がお好きなんでしょう? モデルで、現在ニュースキャスターも務めている市川紗椰さんは、大関のファンだと公言していますが……。

豪 ありがたいことですよね。彼女は以前から自分のことを応援してくれていると聞いて、さらにうれしくなりました。具体的に言えば、まあ、筋肉質というより、細身の女性がいいですよね。古い男と思われるかもしれませんが、あまり表に出ないタイプの女性が好きで、でしゃばりなタイプはちょっと苦手です。あと、関西出身ですから、明るく、おしゃべりができる人だったらいいかもしれませんね……なんて、しゃべり過ぎですね(笑)。30歳を過ぎて、少しはトークもできるようになったでしょう?

――そうですね(笑)。今はとにかく忙しいと思いますが、息抜きや趣味の時間は取れていますか?

豪 バタバタする毎日が続いていて、時間がないんですが、おいしいものを食べて、ゆっくりすることでリフレッシュしています。焼肉は全国いろいろなところを食べ歩いていますが、東京だったら一門の先輩でもある二子山親方(元大関・雅山)がプロデュースしている焼肉屋さんで、厚手のタンやハラミ、ツラミなどを食べるのが大好きです。それと、週刊大衆さんでもエッセイを連載されている伊集院静さんのファンなんですよ。以前から先生のエッセイを読むのが好きだったんですが、たまたま共通の知人がいたこともあって、一緒に飲ませていただいたときには大感激しました。優勝を決めてからも、電話でお話をしたんですが、先生の生き方には共感するところが多いですね。

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