胃潰瘍や十二指腸潰瘍であれば出血はほどなくして止まるため、真っ黒なタール便が続く場合は胃がんを疑うべきだという。「黒い便とともに胃に痛みがあれば、胃潰瘍の可能性のほうが高いのですが、胃の周辺になんとなく不快感があって、しかも、体重が減少傾向にある場合はまずいですね」(同)

 赤い粘血便の場合、痔の可能性もあるが、大腸がんも考えられるだけに、慎重な判断が必要だ。「一般的には、貧血を伴うほどの急激ながんの進行は1年以内に起きるとは考えにくいので、年に一度の健康診断などでヘモグロビン値が13グラムなら、とりあえずは安心です」(同)

 すでに仕事から離れ、健康診断の機会が少なくなっている世代には、特に意識してもらいたいところ。前述のように、シニア世代における貧血患者の割合は高いのだ。「高齢化に伴う食欲不振や血液循環の悪化から、鉄不足に陥って貧血になる分にはまだいいのですが、それと混同して重大病を見落とすことは避けたい。そこで、普段から鉄分の摂取と、鉄の吸収を阻害するカルシウムの摂りすぎには注意してください。また、ビタミンCは鉄の吸収を助けるので、果物やサプリで補うことを忘れないでください」(内科医)

 また、酢の物も鉄吸収を補助してくれるそうだ。さらに中高年男性は、「腰痛のための薬や、不整脈、糖尿病の治療薬が原因で鉄が失われて貧血が起きることもあるので、注意していただきたい」(前同)

 いざ貧血になってしまった場合の対処法だが、意外にも、それほど神経質になることはないそうだ。軽ければ座って静かにしていればよく、ひどい場合は横になり(横にさせ)、体を締めつけているベルトなどを外して呼吸が楽になるようにし、足を少し高くする。それで数分もすれば、症状は収まるという。

 ただし、それでも快方に向かわない場合は、すぐに医師に相談するべし。つい、侮りがちな貧血。もし、その症状を感じた際には、体の警告と感じ、心して対処してほしい。

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