「なんとなく不思議な不動産屋さんがなるか、なんとなくメール問題のおばさんがなるか、不幸な選択……(いずれの候補者が大統領になっても)つきあわなきゃいかんこっちは“けっこうしんどいなぁ”と思っておかなきゃいかん」
11月8日に行われたアメリカ大統領選挙に先立つ同月2日、自民党国会議員のパーティで、大統領選の行方を占って、こう吐き捨てた日本の政治家がいる。麻生太郎副総理兼財務相だ。
「もともと麻生さんは、歯に衣着せぬ発言をすることで有名です。過去にも、TPP交渉に関して“オバマにまとめる力がない”と言い切ったり、日本と外国の米価の対比について“どちらが高いか、アルツハイマーの人でも分かる”とのたまったりと、暴言や失言の数は枚挙にいとまがありません」(全国紙政治部記者)
暴言といえば、その大統領選を制したトランプ氏も負けていない。「メキシコ国境に万里の長城を造る」「中国の習近平をハンバーガーでもてなす」などなど、数々の問題発言で敵を作ってきた。
「そんなことから、永田町界隈で今、麻生さんは“和製トランプ”とも呼ばれていますよ(笑)」(前同) 暴言以外にも、麻生氏とトランプ氏には共通点が。
「吉田茂氏を祖父に持つ名家に生まれた麻生さんは、政治家資産ランキングでも上位に名を連ねる大金持ちですから、不動産王のトランプ氏とは話も合うんじゃないですかね。記者連中の間には、“いっそのこと、麻生さんを外務大臣にすれば、日米外交も案外うまくいくんじゃないか”なんて声も」(同)
トランプ氏は、これまでに環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の撤回を唱えたり、在日米軍の撤退をほのめかしたりするなど、日本がオバマ大統領との間で築いてきた関係をご破算にするかのような主張を繰り返してきた。麻生氏の外相抜擢で、“毒をもって毒を制す”の言葉通り(?)、その緊張を打開できるなら大歓迎なのだが……。
「そうは問屋が降ろさないのが、“永田町の力学”です。今、取り沙汰されている来年1月の衆議院解散も、どうやら見送られることが濃厚ですから、大幅な内閣改造はないと思います。それに、現外相の岸田文雄氏は安倍首相のイエスマン。手放したくないでしょうね。ロシアとの北方領土交渉も控えていることですし」(ベテラン政治記者)
さらには麻生氏側にも“待った”がかかるだろう。「現在、先送りになっている消費増税の問題もありますから、増税論者の麻生氏を財務官僚が手放すはずはありません」(前同)
一方のトランプ氏も、次期大統領に決まったとたん、その暴言が一気にトーンダウン。中国国営テレビの報道ではあるが、習近平氏との電話で「中国は偉大で重要な国家」と言ったなんて話もあるくらいだ。「安倍首相が今月10日に行ったトランプ氏との電話会談も終始、和やかで、“特別な関係をさらに強化していきたい”と好意的でした」(同)
TPPだけでなく、暴言コンビによる“TTP(太郎・トランプ・パートナーシップ)”の実現も、夢とついえてしまうのか?