「今年の2歳牝馬は走る馬が多い。レベルも高いな」という声が栗東トレセン内でもしきりだが、今週はその2歳牝馬のチャンピオン決定戦、G1阪神ジュベナイルフィリーズが日曜日に行われる。確かに有力馬を指折り数えれば、5本の指では足りないぐらいだ。

 まず夏の新潟2歳Sを制したのはヴゼットジョリー。翌週の小倉2歳Sを勝ったレーヌミノルはその後、牡馬相手の京王杯2歳Sでも半馬身差の2着に健闘した。10月末に行われたアルテミスSを制したのはリスグラシュー。11月のファンタジーSがミスエルテで、デイリー杯2歳Sは牡馬相手にジューヌエコールの勝利。同レースで4着のディーパワンサは新馬→中京2歳Sの連勝馬だ。さらに関東では新馬→オープン特別を連勝したソウルスターリングもいる。

 このうちミスエルテは、「レース間隔を開けたい」と池江師が話し、次週の朝日杯FSに回るが、前述した7頭のうち、6頭までが“社台系”だ。いわば同士討ちを避けての使い分けとの見方もできる。勝ち馬は残る5頭から出そうだ。

 最有力は関東馬のソウルスターリングだ。ミスエルテと同じフランケル産駒で夏の札幌でデビュー勝ち。そして3か月の間隔を取った前走がセンスの固まりのような勝ち方だ。好位から上がり最速の33秒9で抜け出してきた。現役時に16戦全勝、G1を10鞍も勝った父。怪物の血は日本の馬場にもマッチするようで、いきなりG1ウイナーの誕生も十分だろう。

 中5週で望むローテーションも理想的で、中間も過不足ない乗り込み量。2度、千八戦を使ってのマイル戦にも好感を覚える。というのも、前10年の勝ち馬にはすべてマイル以上の距離経験があり、前走が千八戦だった馬が3頭もいる。スタミナも求められる阪神外回りコースだから、これも買い材料になる。

 関西馬ではリスグラシューだ。2走前に阪神千八戦をレコード勝ち。前走は東京マイル戦で道中、外を回らされながら差し切った。430キロ前後の馬体だが、脚力は相当なものがある。デビューから4戦目になる点がどうかだが、細さを感じさせない馬体。関西馬では最有力だろう。

 これに続くのはジューヌエコールだが、デビュー2戦が7F。前走が京都のマイル戦だったが、レースぶりはマイルより7F向きの感もある。あとヴゼットジョリーは中間の乗り込みに疑問符がつき、それなら、ひと叩きしたディーパワンサに穴の楽しみがある。(日刊ゲンダイ大阪記者)

本日の新着記事を読む