有馬記念が始まったのは、昭和31年(1956年)のこと。この年のベストセラー1位は石原慎太郎の『太陽の季節』で、強烈な描写が話題を呼んだ。
この昭和31年は、干支でいうと丙申で、実は今年、平成28年(2016年)も、その丙申である。つまり、干支は60通りあるのだが、それがひと巡りして、丙申に還ったのだ。そう、有馬記念は今年、還暦なのである。
始まりに還ったことを表わすかのように、今年、単行本でベストセラー1位となったのも、同じ石原慎太郎が書いた『天才』だった。
さて、還暦というとすぐ思い出すのは、還暦を迎えた人が身につける赤いちゃんちゃんこ。そして、赤い頭巾(ずきん)。なぜ、この風習があるのかについて、『日本人のしきたり』(飯倉晴武編著/青春出版社)にあたってみたら、<この年齢(=還暦)に達すると一族が集まって「生まれ直すこと」を祝い、赤ちゃんのときに着ていたような赤い頭巾とちゃんちゃんこを贈って、無病息災と長寿を祝福したのです。>とあった。
こうなると今年の有馬記念は、赤い帽子の馬、あるいは服色の胴が赤の馬が要注目ということかも。
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