都議会自民党が次の攻め手を考えあぐねる中、小池知事は一気に反撃へ出た。前述の政党復活予算を廃止する方針と併せて、各業界団体からヒアリングを開始。まずは東京都トラック協会や東京都中小企業診断士協会など、庶民生活に近い約60団体を対象に、知事が直接、彼らの意見や要望を聞き始めたのだ。

「小池知事の狙いは、都議会の力を弱らせて、思い通りに都政を運営すること。その意味で言うと、復活予算の廃止はむろんのことですが、業界団体から知事自らがヒアリングすることによって、権力を知事に集中させることができます」(政治評論家の有馬晴海氏)

 都議会の生命線を奪うと同時に、それを知事自身の武器として業界団体へ恩を売るというわけだ。そして、一度は決着したかに見えた豊洲新市場問題と五輪施設問題でも、知事は巻き返し策を練っているという。まず、豊洲新市場の移転延期に伴う補償費用について、税金や市場使用料には手をつけず、旧神田市場の土地を売った利益の積立金を充てると発表。「これで自民党の“税金のムダ遣い”批判を封殺しました」(全国紙政治部記者)

 さらに、返す刀で森会長への反撃を画策。「五輪のゴルフ会場に目をつけたんです。選手村や都心部からの距離を考えて、若洲ゴルフリンクス(江東区)が有力候補でしたが、名門の霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県川越市)になぜか変更になった経緯があり、そこに斬り込むつもりですね」(前出の有馬氏)

 お互い一歩も引かぬ構えの小池知事と森氏、そして森氏の後押しを受けた都議会自民党。対立はますます激化しそうだが、それでもまだ序の口だという。「本当の“東京冬の陣”は、来年2月でしょう」(鈴木氏)

 どうやら緒戦から、いきなり敵の“本陣”に斬り込む修羅場になりそうなのだ。「“ドン”内田氏のお膝元である千代田区で、来年2月5日投開票の区長選(1月29日告示)が行われます。現職の石川雅己区長は、前回の選挙で内田氏に対抗馬を立てられた恨みがあり、今回も小池知事の支援を受けて立候補すると出馬会見をしました」(前同)

 一方の内田氏も、自身の命運をかけて対抗馬を擁立する構えだ。「今のところ、来年夏の都議会選挙の第1次公認候補に、内田氏の名前が入っていないんです。この代理戦争で敗れたら、内田氏は自分で進退を決めるつもりなんでしょうね」(同)

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