ロシア・プーチン大統領「スパイから大統領へ」魔王の履歴書の画像
ロシア・プーチン大統領「スパイから大統領へ」魔王の履歴書の画像

 12月15日、ロシアのプーチン大統領が来日。2日間にわたり安倍晋三首相と首脳会談を行った。1年前から入念に準備が進められ、直前に岸田文雄外相が訪露して調整を行うなど、安倍政権は相当な意気込みを見せていたが、蓋を開けてみれば、プーチン大統領が初日にまさかの大遅刻。日本サイドはすっかりペースを崩されてしまった。

「首相の地元・山口県の温泉旅館で行われた会談は3時間に及び、うち95分間は両首脳が通訳のみを同席させて話し合いました。安倍首相としては、北方領土返還に向けて前進したかったはずですが、議題は共同経済活動に終始したようです」(外務省関係者)

 会談に先立ち、プーチン大統領は日本の一部メディアに独占取材を許可。4島返還に応じないことや、中国が最大のパートナーであると断言したが、「この時点で勝負あった」(前同)と言うから、その交渉術はまさに脱帽もの。

 とはいえ、彼に屈したのは日本だけの話ではない。「プーチン好きを公言するトランプ氏が米国大統領選で有利になるよう、ロシア政府がサイバー攻撃をして世論を誘導したとして、米情報当局がロシアを批判しています」(外信部記者)

 最大の敵国をも“操作”するプーチン大統領は、「中国をも赤子同然に扱い、今や、権謀術数を巡らす“世界の王様”と言っても過言ではありません。その源流は、他の国家元首とはまったく違う“異色の経歴”にあると言えます」(前同)

 衆知の通り、彼はソ連の諜報機関だったKGB(現FSB)の出身。「大学卒業後にKGB職員になったプーチンは、10年以上にわたってスパイ活動に専念。米ソ冷戦の際には、観光客のフリをして米国のレーガン大統領の1メートル以内に接近するなど、技術と勘を磨いたそうです」(同)

 実は、中学時代からKGBスパイに志願していたという筋金入りなのだが、「祖父はロシア革命を導いたレーニンや、その後継者スターリンの料理人を務めた人物。父親は、共産党の熱心な党員でした。プーチンがその道を選んだのも、家柄かもしれません」(同)

 38歳のとき、KGBを辞めて政界入りするが、「共産党員であることに何より誇りを持ち、当時の党員証を今でも保管していると周囲に自慢しているそうです」(在モスクワ記者)

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