書き入れ時は犯罪者にとっても同じ。悪に対抗するスペシャリストが教える“危険な季節”のサバイバル術とは!?
「まさか」の事態は誰の身にも訪れる。犯罪者が狙うのは、魔の手を想像すらしていないタイミングだ。都内の金属加工会社に勤める60代のA氏が被害にあったのは、一昨年の年末年始のことだった。
「2泊3日で大分に帰省し、自宅に戻ったら家の中がメチャクチャ。空き巣だとすぐに分かりました。盗られたのは妻の貴金属、私のノートパソコン、現金など総額40万円くらいでした。警察に被害届を出したとき、“手慣れた外国人が10分くらいでやってるね”と言われました。ピッキングで玄関から入られたんです」
金銭面に加え、心理的被害も大きかった。「妻が心理的ショックで、家を空けるのが怖い、一人でいられないと言いまして……。3か月くらい、そんな時期が続きました」
長く不在にすることが増えるこの時期は、空き巣犯にとってもハイシーズン。「空き巣は“5分”と“7回”がキーワード。侵入盗の犯人は、5分かかると、約7割が諦めます。そして総攻撃回数は7回が限度。音の出る打撃を7回繰り返して破れなければ侵入を諦める、というデータがあるんです」と語るのは、警視庁生活安全部生活安全総務課生活安全対策第二係主任の成田健警部補だ。
「空き巣犯は減少しているといっても、東京都で年間2500件前後は認知されています。ひとつの対策として、CP(Crime Prevention=防犯)製品があります。これは、警察庁はじめ関係団体が、実際にぶっ壊そうとして、5分以上耐えられたものをCP製品として認定しているもの。サッシ、玄関ドア、シャッターなどの“CP”マークを見ると、空き巣犯は侵入を諦めます」
柔道などで鍛え上げた警察官が実験した際も、「玄関のドアを本気でぶち破ろうとして、結局30分かかりましたね。鍵を回す手を入れる穴を開けるのに、それだけの時間が必要だったんです」(前同) “手間”こそが、空き巣に対する最大の防御策。覚えておきたい。
続いては、こちらの犯罪。12月12日、多摩地区でミニバイクによるひったくりを25件以上繰り返した24歳の男が逮捕された。直接の容疑は、70代女性の自転車の前カゴに入ったバッグを追い抜きざまに奪うという、昔からある手口。近年ではスマホの普及で、歩行者もより手荷物への注意が薄れるケースが見受けられるという。
警視庁生活安全部生活安全総務課調査担当管理官の藤森雅之警視は、次のように語る。「ひったくりの件数は、11月末までで340件。昨年の同期が460件なので、減少しています。しかし、ひったくりに限らず注意喚起したいのが、歩きながらのスマホや、イヤホンで音楽を聴くこと。注意が他に向かず、犯罪の標的になった際に無防備です。できれば避けてほしいですね」