新年会シーズンを健康的に乗り切る!「お腹をいたわる」7つの方法の画像
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 忘年会が連チャンだったのに年明け早々はオトソで一献。悲鳴を上げた内臓を休ませる手段は何か!?

 暮れも正月も、毎年必ず巡ってくるのに、この季節になると、ついつい飲みすぎる~、食べすぎる~。そうやって胃腸を酷使したら、どんなに丈夫な人でも、やがて胃腸が悲鳴を上げる。ただの腹痛と思って放っておいたら、大変な病気になっていたなんてことも珍しくはない。東京逓信病院・消化器内科医長の大久保政雄医師は、こう指摘する。

「暴飲暴食をすれば、当然のことながら胃腸の粘膜は傷つきます。夕飯を食べてすぐ横になってしまう人や食べすぎの人は、胃酸が逆流して食道と胃のつなぎ目の部分(噴門部)の粘膜がただれてしまうのです。軽度であれば、胸やけや胃もたれ、軽い胃痛程度の胃炎ですみますが、不摂生を続けて、さらに胃に負担をかけると、粘膜の傷が深くなって潰瘍になることもあります」

 経験のある読者も少なくないかもしれないが、この潰瘍から出血して、吐血や下血を起こすこともある。「ジクジクと痛みが続いて黒っぽい吐血や便が出るようなときは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍による出血です。また、肝硬変による食道静脈瘤がある人は、飲酒で食道静脈瘤が破裂し、2リットルくらい吐血することもあります」(大久保氏=以下同)

 飲みすぎてトイレで嘔吐しているうちに、急に鮮血を吐くケースも珍しくない。「それが“マロリー・ワイス症候群”です。それまで胃の不調がなくても、飲みすぎて嘔吐を繰り返すうちに、急に血を吐くパターンです。お酒が大量に入ってくることで胃が急に拡張すると吐き気を催しますが、広がった胃から細い食道へ、内容物が急に逆流するために、圧がかかって粘膜が裂け、吐血するのです。宴会シーズンは、私が勤務する都心の総合病院の消化器外来にも、1日2~3人はマロリー・ワイス症候群の患者さんが来院します」

 吐血した場合は、診断のために内視鏡を入れて食道から胃、十二指腸を診る。「今後、出血することがなさそうな場所や浅い傷であれば、薬を処方して帰宅できますが、潰瘍や食道静脈瘤の出血であれば、即入院・加療が必要です」

 よく酒を飲む人には、まだまだ病気がある。酒のアルコールに、揚げ物など脂質の多い食事が加わると、慢性的な大腸の炎症を起こす原因になるというのだ。「大腸が炎症を起こして、その壁が部分的に袋状に外に飛び出たものを憩室(けいしつ)といい、憩室炎が続くと、大量に出血します。この季節には、憩室炎で大量下血して救急搬送されてくる患者さんが増えます」

 大腸の持続的な炎症はポリープや大腸がんにも直結するが、憩室出血も食の欧米化に伴って最近増えている病気の一つだという。「1日の脂肪の摂取量が30グラムを超えると、お腹の中で炎症が起きることが分かっています。日本人に大腸がんが増えているのは、脂質の摂取量が多くなったから。潰瘍性大腸炎などの増加も同様です」

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