ドナルド・トランプは、本気で在日米軍を撤退させるのか!?

 トランプ大統領の誕生によってアメリカはもちろん、世界は激動の時代を迎えようとしている。当然、日本も変化の波が押し寄せるだろう。

「イスラム教徒の入国禁止」や「メキシコ国境に壁を作る」など、トランプは数々の過激な公約を掲げている。その中でも「在日米軍の駐留費用を全額負担せよ。さもなければ撤退する」と迫ってきたことにショックを受けた日本人は多かったに違いない。金を出さなければ米軍を引き揚げ、日米安保条約も破棄すると脅しているのだ。

 これまで日本はどこの国よりもアメリカ軍の駐留費用を負担してきた。割合で見ても、金額で見ても、だ。試算では年間約7600億円、割合にして全費用の54%を日本が負担しているとされるが、全額負担となれば1.5兆円規模にまで膨らむ。

 さらに、もし米軍が撤退して日本が自衛隊だけで防衛する場合、空母や艦船、戦闘機、弾道ミサイルなど現在の装備レベルを保つために、最低でも年間4兆円の防衛費の追加が必要とされる。ビジネスマン出身のトランプがこれらのデータを使わないはずがない。今後、この問題の交渉において「ジョーカー」として利用してくるだろう。

「日本とアメリカは固い絆で結ばれているはず。ちょっとゴネているだけで、さすがに本気で言っているわけではなかろう」

 残念ながらその認識は甘い。トランプは「トモダチ感覚」でゴネているのではない。

「日本は(GDP)世界3位の金持ちだ。アメリカが大金をかけた軍隊のおかげで豊かな国に成長できた。そのことを考えれば全額負担するのがフェアな話ではないか?」

 トランプをはじめアメリカ人の多くが「不公平」だと不満を持っている。国民の支持も得ているこの公約通り、しっかりと全額負担を要求してくるだろう。

 統計によれば2015年の世界各国の軍事費ランキングで、1位のアメリカ(5960億ドル)は2位の中国(2150億ドル)と3倍近い差をつけている。しかし、2014年のアメリカの軍事費は6100億ドル、つまり1年で140億ドルも減額しているのだ。オバマ大統領が「世界の警察」を返上したように、破綻寸前に等しい財政状況のアメリカは軍縮傾向にある。一方で中国の軍事費は右肩上がりで伸びており、今後10年でアメリカを追い抜くともいわれている。

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