北朝鮮の化学兵器説も…「時限装置つき気球」が伊豆で発見の画像
北朝鮮の化学兵器説も…「時限装置つき気球」が伊豆で発見の画像

 1月6日夕方、静岡県南伊豆町の畑で不審な気球が見つかった。全長9.5メートル、幅1.5メートルほどの半透明のビニール製のバルーンで、黒い時限装置と小さなビニール袋が2つ取りつけられていた。しかもタイマーに、半島製と思われる乾電池が入っていたことから、北朝鮮から飛んできた“兵器”ではないかと取り沙汰されたんです」(地方紙記者)

 この怪しい気球の正体は何か。刑事時代、公安外事警察の捜査に携わった経験を持つジャーナリストの北芝健氏は、こう考える。

「昨年9~10月にかけ、秋田、山形、青森などでも気球が見つかっていますが、それと同様のものと考えられます。大半は、北朝鮮と韓国の緊張が高まる中、韓国政府の意を受けた脱北者団体が、北朝鮮側に揺さぶりをかけるために上げたもの。その一部が日本に流れ着いた可能性が高い」

 そうした気球には、金正恩労働党委員長の写真付き批判ビラ、インスタント食品、米1ドル紙幣などが積まれているという。「北朝鮮人民の多くは、食料難ですからね。“豊かな韓国に脱北して来い”とのメッセージが込められたインスタント食品は好評で、成果を上げているといいます」(北朝鮮ウォッチャー)

 だが一方で、南伊豆の気球は、これとは別モノとの説も。時限装置の存在から、北朝鮮製ではないかとの説も噴出しているのだ。

「実は98年4月、山梨県の山中に飛来した気球を、脱北した北朝鮮人民軍元中尉に見てもらったところ、それが北朝鮮のもので、実験用の化学テロ装置の可能性があるという証言があったんです」(民放局関係者)

 それは2つの気球が上下につながれたもので、時限タイマーが切れると、上段の気球から下段の気球に液体が流れ、混合すると化学反応を起こす仕組みになっているという。そして、2つの液体が混ざると猛毒が発生、空気中に散布されると、数万人を殺傷できるほどの威力だというのだ。

「実は、米大統領選と呼応して、日本へテロを企む北朝鮮別働隊があるとの情報が流れたんです。それと今回の気球落下の報道が重なり、北朝鮮説が浮上したんだと思います」(前同)

 これに、北芝氏は、「韓国から北朝鮮に飛ばされる気球にもタイマーがついていますが、それは目的地上空に来ると、下の袋に入ったビラや食料を切り離す仕組みになっているためです。ただ、中には化学反応で発火する液体が入っていているなど、嫌がらせ目的のものもありました。昨年、日本でも不審な液体パックが釣り下がった気球も発見され、テロだったら怖いとの観測が流れたのは事実ですが……」

 怪しい気球は、韓国のものか、それとも金委員長の恫喝メッセージか――。今後の捜査の結果が待たれる。

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