木村氏は、15年5月に発生した小笠原諸島西方沖地震(M8.1)は、その後者の前兆現象と見ている。この地震は震源の深さが681キロとM8クラス以上では世界最深(東日本大震災では24キロ)で、陸地からもはるかに遠いが、それでも神奈川県二宮町などでは震度5強を観測した。「この震源がもっと浅くなる場合、巨大津波が本州を襲うのは必至です」(同)

 さて、その木村氏が、今年から19年中までに起きうると具体的に予測している大地震が、もう一つある。その場所は、大分県と宮崎県の東方沖合、日向灘だ。「この一帯は昨年4月の熊本地震で圧がかかり、大地震の発生が早まった可能性があります」(同)

 熊本地震の発生場所は、「中央構造線」という九州から関東まで一直線に続く我が国最大の断層帯に属しており、このため、多くの地震学者は、この中央構造線上の別の場所での大地震を警戒している。

 日向灘は中央構造線からは外れているが、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界付近にある。木村氏は熊本地震によって、この地域にも圧がかかっていると考え、予測では、この日向灘地震は2014年±5年、規模はM7.5くらいの規模になるという。「大きさこそ伊豆、小笠原諸島付近の予測の30分の1程度ですが、陸地に近く、過去のケースから考えても、津波が想定されます」(木村氏)

 さらには、この日向灘地震によって前述の南海地震、さらには東南海、東海地震といった複数のプレート地震を太平洋側で誘発する可能性さえありえるという。その前例と見られているのが、1707年の宝永地震。規模はM9.3とも推定され、推定震度6以上の揺れが起きた地域だけでも、駿河(静岡)より西の東海地方から大阪平野、奈良盆地、紀伊半島、四国、九州東部の豊後(大分)、日向(宮崎)まで及び、さらに甲信地方などの内陸部から出雲地方など日本海側にまで広がる。記録に残る、わが国最大の地震だ。

「この規模の地震が起きたら、全国で揺れと津波による死者は3万人を下らないでしょう。太平洋岸はほぼ全滅という事態もありえます」(前出の全国紙記者)

 まさに、我々は世界に例を見ない「地震の巣」の上に住んでいる。いつ大地震が起きてもおかしくないとなれば、せめて、できるだけの備えはしておきたいものだ

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