もしも、この前提が現実化すれば、憲法9条改正どころの騒ぎではなくなる。「日本は、世界で唯一の被爆国。核のない世界を作ることを目指す立場の国ですから、国内では大問題、大論争になるでしょう。また、そうなると、アメリカを除く核保有国からの反発を招くことは必至ですね」(国際部記者) こうした軍拡は、日本にプラスかマイナスか。トランプ氏の企みはまだ続く。

 さて、次の焦点は外交問題。「トランプ政権で駐日大使となるウィリアム・ハガティ氏の力量が、日米関係に大きな影響を及ぼすとみられています」(前同) ハガティ氏は米国最難関大学の一つ、ヴァンダービルト大学を卒業後、世界的なコンサルティング会社であるボストン・コンサルティング・グループ入社。同社勤務の最後の3年間を日本駐在員として務めていた。

「トランプ氏は常々、“駐日大使は非常に重要なポジション。なぜなら、我々は日本と交渉しなければならないからだ。アメリカは、ビジネスの能力のない連中ばかり使っている”と発言しています。ハガティ氏は私の友人の友人でもあります。彼は、オバマ政権の(キャロライン・)ケネディ前駐日大使のように、決してサンタクロース姿で“恋ダンス”を踊ってくれるような人ではありません」(あえば氏)

 安倍政権にとって手強い相手となるのは間違いないだろう。ただ、悪いことばかりではない。これまで日本の政権が手を焼いていた“従軍慰安婦問題”から解放される公算が高まっているというのだ。

「アメリカの民主党政権時代に南京大虐殺や従軍慰安婦問題がクローズアップされ、共和党政権になった途端、フェードアウトするというのが、これまでの歴史の流れなんです。特に、トランプ氏の口から韓国の名が出たことはほとんどありません。トランプ氏にとって、韓国は、優先順位が日本よりはるかに低い国で、おそらく眼中にないと思いますよ。当然、トランプ政権は米韓関係より、日米関係を優先するでしょうね」(前同)

 つまり、韓国も同盟国であるアメリカの顔を立てざるをえず、いつまでも昔の話でネチネチと日本を批判できなくなるというのだ。以上、軍事・外交面では大きな変動が想定されるが、我々にとって最も気になるのは、やはり経済だろう。「トランプ氏はアメリカ国内の雇用確保を優先。メキシコなどに現地法人を作ってアメリカ国内に輸出する場合、高い国境税をかけると宣言しています」(経済誌記者)

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5