由伸ジャイアンツ、早くもV奪還に「赤信号」の理由

 大物FA選手を買いあさり、「世紀の大補強」には成功も、消化不良になって内部分裂!? さあどうする? 高橋監督!!

 2月1日、プロ野球12球団が一斉にキャンプイン。30億円ともいわれる大補強を敢行し、戦力を大幅にアップさせて、覇権奪還を狙う今シーズンの巨人軍を率いる指揮官の高橋由伸監督は今季、特に「厳しさ」を前面に打ち出して、キャンプに挑んでいる。

 その第1弾が、これまで自己流調整を許していた、ベテランたちで構成される「スペシャル班」という特別待遇をやめる方針だった。FAで新加入した山口俊も三軍スタートとなった。「このきっかけになったのは、昨年の阿部慎之助の出遅れだといわれていますよ」(スポーツ紙デスク)

 阿部が一軍に復帰したのは開幕から51試合目。右肩痛のため、開幕に間に合わなかったこと自体は仕方なかったとしても、その後のあまりのスロー調整ぶりに、由伸監督がイラついていたというのだ。「もちろん、阿部は自身の選手生命に関わることだけに、復帰には慎重を期していたようですが、チームがどん底の非常事態だったこともあって、それが指揮官の目にはサボっているように映ったようです」(前同)

 復帰戦は交流戦の最中だったため、5番DHでの戦列復帰だったのだが、「由伸監督は、ペナルティのつもりなのか、なかなか阿部を4番に戻さなかったんです」(同) 阿部が4番に戻ったのは、復帰してから実に40試合目の7月24日のこと。すでに、この頃は広島の快進撃の真っ最中で、巨人が追撃・逆転するのは正直、厳しかった。

「もっと早い段階で阿部が復帰していれば、あるいは、もっと早い段階で4番に戻っていれば、ペナントの展開は変わったはず。問題は、阿部、監督の双方にありますね」(スポーツ紙記者)

 その後、指揮官と主砲の“不協和音”は収束したようだが、ちょっとしたボタンのかけ違いで、確執が再燃する危険性もある。それが、由伸監督の厳しさを象徴する、もう一つの方策。キャンプイン初日に発表された「レギュラー白紙」宣言だ。「坂本勇人のショート以外の全ポジションを、競争のうえ、自分の手でつかみ取れというんです」(前同)

 ここに、確執再燃の火種が見え隠れするという。「一塁か三塁が定位置のマギーが新加入したことで、阿部、村田を含めた強打者3人の激烈なポジション争いが生じるんです」(同)

 誰をベンチに下げても、年俸2億円前後の戦力が飼い殺しになるのだが、問題はその先にある。「競争の結果なら納得できるでしょうが、おそらくマギーは外国人選手にありがちな、開幕一軍を契約の条件にしているはず。つまり、一塁・阿部、三塁・村田のいずれかがワリを食うことになる。どちらが外れても、チーム内の雰囲気を悪化させる要因となるでしょうね」(前出のデスク)

 そこで特に心配なのが、阿部の存在だ。長らくチームの大黒柱だっただけに、阿部のチーム内での存在感は、とてつもなく大きい。「阿部がロッカールームに入ってくると、途端に雰囲気が変わるといわれるほどのオーラを放っていますからね。さらに阿部は、親分肌で徒党を組むタイプ。彼がチーム内の不満分子となれば、他選手への悪影響は甚大です」(スポーツ紙巨人軍担当記者)

 他の選手たちに対する面倒見のいい親分肌の阿部が張り切れば、いやおうなく監督とは別の“中心”が生まれてしまう。一歩間違えれば、阿部と由伸監督の亀裂が、さらに大きくなるかもしれないのだ。

 この「レギュラー白紙」宣言が落とす火種は、それだけではない。「競争心をあおって士気を高めるのが悪いことだとは思いませんが、そもそも選手を獲りすぎなんですよ。これじゃあ、どう考えても消化不良が起こる」(前出のデスク)

 たとえば投手陣。先発では山口俊、吉川光夫の加入で、ローテーションは盤石になったが、「内海、杉内、大竹らのベテラン勢が中継ぎに回ることもありえます。特に杉内と大竹はFA組です。プライドが変に作用しなければいいですが……」(前同)

 リリーフ陣にも同じような問題が発生しつつある。「FAで森福を獲ったのに、新外国人で164キロのスピードボールを投げるカミネロを獲ったでしょ。いったい何がやりたいんですかね。それ以外にもリリーフ陣は、澤村、マシソン、山口鉄也……。ワンポイント起用が嫌で移籍してきた森福がワンポイントに逆戻りなんてことになったら、一悶着あるかもしれませんよ」(前出のスポーツ紙記者)

 ここまで見てきて気づいた読者がいるかもしれないが、今シーズンの巨人は、投手のマイコラスとマシソン、野手のギャレットとクルーズという外国人が残留するにもかかわらず、2人の新外国人を獲得し、明らかにパンク状態なのだ。「外国人は4人までしか一軍登録できませんからね。このうちの誰か2人は、二軍生活を余儀なくされるんです」(前同)

 前述のように、外国人は契約に「一軍」という条件を盛り込んでいるケースもあれば、さらには、監督でさえレギュラーを外せないというアンタッチャブルな契約を結んでいる場合もないわけではない。「まあ、その辺はうまく契約しているんでしょうが、6人とも高額な契約を結ぶプライドの高い選手たちでしょうから、試合に出られないとなれば、もめる可能性は高いですよね」(同)

 ここまできたら、監督を越えてフロントの責任とも言えるだろう。これが最大の問題だ。巨人の場合は特にそうだが、フロントのワガママで現場にしわ寄せが来る場合が少なくない。そもそも由伸監督は、一昨年に原・前監督が突然に退任した余波で、監督の座に座らされたという経緯があり、昨シーズンは思うような采配が振るえなかった。

「そりゃ、そうでしょう。コーチ陣は井端以外の全員が年上。しかも、自分で組閣したわけではなく、球団からのお仕着せです。これじゃあ、自分の色を出そうにも出せませんよ」(同)

 不慣れな指揮官をベテランのコーチ陣が支える形を取るのはごもっともだが、これがなんとも心許ない。「巨人軍のフロントは、昨年の負け試合を分析した結果、尾花投手コーチの手腕に大きな疑問を感じたといいます」(前出の担当記者)

 具体的には、投手がピンチのときに、マウンドに駆け寄るタイミングが常にワンテンポ遅れていたという。投手コーチがマウンドに行くタイミングで悪い流れを断ち切ったり、マウンドの投手を落ち着かせたりすることができるものなのだが、これが常に後手後手に回っていたというのだ。

「そこまで分かっていても、フロントは尾花コーチを留任させていますし、監督がやりやすいように、思い切って、同い年の盟友・井端を作戦コーチあたりに抜擢するぐらいのこともしない。結局、監督に何をしてほしいのか、フロントの意図が、まったく見えてこないのが一番の問題なんですよ」(前出のデスク)

 この体質が変わらない限り、前途は暗い。由伸巨人のV奪還は、いったい、いつになるのか――。

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